IUU漁船漁獲物が日本に

【連載】人と魚の明日のために

近年、国際海域で操業する漁船による「違法・無報告・無規制(IUU)漁業」や船上での人権侵害が大きな問題になっている。

このほど、中西部太平洋などで操業する多数の中国漁船でIUUや人権侵害が常態化しており、これらの漁船が漁獲したマグロなどが、日本の市場に持ち込まれた可能性が高いことが国際環境保護団体、環境正義基金(EJF、本部・英国)の4年がかりの調査で明らかになった。IUUや人権侵害への企業の姿勢が国際的に注目される中、日本にとっての大きな問題となりそうだ。

EJFは2017─ 20年、西太平洋やインド洋、大西洋などで操業し、日本に関連するとみられる19隻の中国漁船に乗船していたインドネシア人船員約40人にインタビューし、船上での写真を多数、入手した。

ほぼすべての船員が、サメのひれだけを切って胴体を捨てる手法「フィニング」が大規模に行われていたと写真やビデオを示して証言。ビデオには船員が引き上げたサメのひれを切り取り、体を海に投げ捨てる様子が鮮明に残っていた。

捕獲が禁止されているイルカやウミガメを故意に捕ることもあり、甲羅や歯だけをアクセサリーや記念品として持ち帰っていたとの証言や写真も複数得られた。

船上の強制労働の実態が明らかに

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ida_tetsuji

井田 徹治(共同通信社編集委員兼論説委員/オルタナ論説委員)

記者(共同通信社)。1959年、東京生まれ。東京 大学文学部卒。現在、共同通信社編集委員兼論説委員。環境と開発、エネルギーな どの問題を長く取材。著書に『ウナギ 地球 環境を語る魚』(岩波新書)など。2020年8月からオルタナ論説委員。

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キーワード: #SDGs#ビジネスと人権

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