「2022年は再び生物多様性の年」を裏付ける5つの動き

「カーボンニュートラル」に並び、「ネイチャー・ポジティブ」が国際的な環境分野の2大目標になりつつある。ネイチャー・ポジティブとは、生物多様性や自然を優先するという意味で、2030年までに失われた生物多様性を回復軌道に乗せることが目指されている。2022年4-5月に中国・昆明で開催予定の国連生物多様性条約(CBD)の第15回締約国会議(COP15)で、新たな国際枠組みが採択されることから、再び生物多様性が脚光を浴びそうだ。(オルタナ副編集長=吉田広子)

「生きている地球レポート2020」(WWF:世界自然保護基金)によると、1970年から2016年の間に、モニタリング対象の哺乳類、鳥類、両生類、爬虫類、魚類の個体群で平均68%減少した。

世界経済フォーラムは、「グローバルリスク報告書2021」のなかで、今後10年で最も深刻度の高いグローバルリスクとして、1位の「気候変動への適応の失敗」、2位の「異常気象」に続き、3位に「生物多様性の喪失」を挙げている。

生物多様性が失われる一方で、それを回復させるための対応策は遅れていた。2010年10月に名古屋市で開催された生物多様性条約第10回締約国会議(CBD・COP10)で、2020年目標(愛知目標)が採択されたものの、20の目標のうち、完全に達成できた目標は一つもない。

だが、ここに来て、生物多様性損失の危機感や、脱炭素化に伴う森林をはじめとした生態系サービスへの関心が高まりから、生物多様性保全に向けた取り組みが加速している。5つの動きを紹介する。

1)COP15で新たな国際枠組み(GBF)が採択へ

延期になる可能性もあるが、2022年4-5月に中国・昆明で COP15第二部が開催される予定だ。COP15の開催は第一部と第二部に分かれ、第一部は2021年11月に開催された。第二部では、「ポスト2020生物多様性枠組」(GBF)が採択される予定だ。ミッションに「2030年までに生物多様性を回復軌道に乗せるために緊急な行動を社会全体で起こすこと」が掲げられる予定だ。生物多様性保全に関する具体的な数値目標が設定され、企業にも情報開示や目標設定が求められる。

2)自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)の発足

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yoshida

吉田 広子(オルタナ副編集長)

大学卒業後、米国オレゴン大学に1年間留学(ジャーナリズム)。日本に帰国後の2007年10月、株式会社オルタナ入社。2011年~副編集長。執筆記事一覧

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キーワード: #生物多様性

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