ひとり親同士の連携を加速させるトークアプリ

記事のポイント


  1. ペアチルはひとり親限定のトークアプリのテスト版の運用を開始した
  2. 境遇や背景で共感しあえるひとり親同士を10秒でマッチングすることができる
  3. 貧困家庭の子どもの連鎖を断つためにも「親の幸せが第一」に

一般社団法人ペアチルは、ひとり親限定のトークアプリ「ペアチル」を開発し、テスト版の運用を開始した。恋愛推奨のマッチング系アプリとは一線を画すアプリで、境遇や背景で共感しあえるひとり親同士を10秒でマッチングさせられるツールだ。登録には本人確認と「ひとり親」証明が必須で、なりすましを防ぐ。ひとり親家庭で育ったペアチル代表の南翔伍さんは、貧困家庭の子どもの連鎖を断ち切るためにも「親の幸せが第一」と話す。(寺町幸枝)

登録後、10秒ほどで「共通点の多い人」 が確認できる

■ひとり親世帯のウェルビーイングを目指す

「ペアチルは、境遇が近く、共通点の多い人同士が、LINEのような1on1でトークできる機能が特徴。不特定多数ではなく、クローズドなコミュニケーションを取れることで、安心して利用者同士が交流できる場所を提供していく」と、サービスを提供するペアチル代表の南翔伍さんは話す。

全国でひとり親世帯は134.4万世帯(厚生労働省・令和3年度調べ)にのぼり、ペアチルの想定利用者は多い。

現在、ベータ版の利用者は150人程度だが、利用者からは、「死別のひとり親とリアルでは出会えず、同じ思いの人と出会ったことで本当に心が軽くなった」、「職場や他のSNSだと、誹謗中傷されたり、差別的な扱いをされたりしてきたが、このアプリの利用者はひとり親だけだから、安心して自分をさらけ出せる。すでに欠かせないアプリ」といった声が届く。

ハッシュタグを利用することで、より共有できる境遇を検索できる

「3年後には、日本のひとり親の『親子のウェルビーイング』を最大化するために、ひとり親世帯の10%(約13万世帯)がアプリを利用することを目指す」と話す南さん。利用者は地域に関係なく全国が対象。「一緒に遊べる仲間」を探す人もいれば、地域非公表で単純に対話できる相手を求める人もいるという。

10秒でパートナー探しができる点も、時間に追われるひとり親の心情に寄り添ったもの。アプリを通じて悩めるひとり親が、共感・理解し合える人を得ることで、専門家へのアクセスをより低くする狙いもあるという。ペアチルの導入で、「望まない孤独」が解消される人が一人でも増えることを願う。

teramachi

寺町 幸枝(在外ジャーナリスト協会理事)

ファッション誌のライターとしてキャリアをスタートし、米国在住10年の間に、funtrap名義でファッションビジネスを展開。同時にビジネスやサステナブルブランドなどの取材を重ね、現在は東京を拠点に、ビジネスとカルチャー全般の取材執筆活動を行う。出稿先は、Yahoo!ニュース、オルタナ 、47ニュース、SUUMO Journal他。共同通信特約記者。在外ジャーナリスト協会(Global Press)理事。執筆記事一覧

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