「自然の変化を読み取り、揺るがない生き方を」――土佐山アカデミー・内野加奈子

■ 自分を支えるモノが直に見える暮らしは贅沢

――ホクレアで航海するとき、食料品以外の個人的な荷物は、クーラーボックス1個分しか持てないそうですね。その時に、必要なものとそうでない荷物はどう選択するのでしょうか。

一つひとつのモノに対して、本当にこれから3カ月生きる上で必要かどうかを考えます。服や日記帳、カメラなど、一個一個シビアに判断していきましたね。

――モノが溢れ消費される現代で、自分の持ち物を「クーラーボックス1個分」という単位で見直すことは、あまりない経験ですね。

そうですね。でも、モノを持たなくなったことで、精神的な身軽さを感じることができます。それは土佐山にいても同じように感じます。

物質的な豊かさは都会には劣るかもしれませんが、土佐山には自然の豊かさがあり、今持っているモノだけで満たされていると感じることができます。

土佐山には、何もないという見方もできますし、全てあるともいえます。きれいな水や食べ物が目に見える距離にあり、自分の命を支えるモノが直に見える暮らしは、ある意味贅沢です。

ですから、自分が何に支えられているのかが、とても分かりやすいのです。自分が支えられていることを実感できれば、支えられているものに対して何ができるのかと一歩進んで考えることができます。

――2011年夏にハワイから土佐山に移住されました。土佐山のどんなところに魅力を感じて移住を決意されたのでしょうか。

人の暮らしが自然に近いところに魅力を感じますね。土佐山は、源流域にあり、水の流れに沿って人々の暮らしがあります。

「社学一体」という言葉が表すように、地域が人を育てるという精神が根付いているのも魅力です。

土佐山を巡りながら、自然と調和した暮らしのあり方を考えるアカデミー受講生たち

■ 自然や地域、人の力を引き出す

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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