企業の排出削減目標を評価するSBTイニシアチブ(SBTi)がこのほど、「企業ネットゼロ基準」の改定案を公開した。今回の改定では、特に大企業に対してサプライチェーン排出量の進捗管理などを強化し、実効性の高い削減行動を促す。SBTiのキム・ショップピンク氏が改定のポイントを解説した。(オルタナ輪番編集長=吉田広子)

SBTiは、パリ協定に整合した科学的根拠に基づく排出削減目標(SBT)を評価する国際イニシアチブだ。日本企業の認定・コミットは、世界で最も多く、プライム上場企業の約17%、「日経225」の52%が認定コミットしている。
SBTiは2021年、企業の脱炭素化をさらに進めるため、企業ネットゼロ基準を公表した。現在、1600社以上がネットゼロ目標の認定を受けている。
しかし、これまでは目標を設定すれば、必ずしも排出削減を実行しなくてもよい仕組みとなっていた。こうした課題を受け、SBTiは基準や進捗管理の厳格化を図る方針だ。
今回の改定は、初めての大規模な見直しとなる。企業ネットゼロ基準が最新の気候科学やベストプラクティスと整合しているかどうか、ネットゼロ目標を実行・達成するうえでの主要な課題に対応しているかを検証することが目的だ。
現在、SBTiは改定に向けた公開協議サーベイ(調査)を実施中で、6月1日まで意見を受け付けている。2025年後半にはパイロットテストを予定し、2026年3月末に改定の最終版を公表する見込みだ。2027年からは、企業は、新たな短期目標および長期目標を新基準に基づき設定しなければならない。
すでに認定を受けている企業も、更新時には新基準への準拠が必要となる。
世界自然保護基金(WWF)ジャパン(東京・港)は4月24日、オンラインセミナーを開き、SBTiのキム・ショップピンク氏が改定のポイントを解説した。主な変更点は次の通りだ。
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■ SBTiが解説した主な変更点とは