記事のポイント
- 南海電鉄は鉄道事業で使う電力の再エネ切り替えを強化する
- 全105駅と有料特急の走行に必要な電力量に相当する再エネを導入へ
- 非化石証書を使わず、「追加性」のある再エネを調達した
南海電気鉄道は3月12日、鉄道事業で使う電力の再生可能エネルギーへの切り替えを強化すると発表した。南海電鉄の全105駅とすべての有料特急の走行に必要な電力量に相当する再エネを導入する。その特徴は非化石証書を使わず、「追加性」のある再エネを調達したことだ。(オルタナ輪番編集長=池田真隆)

同社は関西電力や発電事業者とオフサイト型のコーポレートPPA(電力購入契約)を締結し、2026年4月から順次導入する。一部メディアでは「非化石証書」付き電力を購入すると報じられたが、実際はコーポレートPPAが中心だ。
コーポレートPPAとは、企業が発電事業者から再エネを長期に、固定価格で購入する契約方式を指す。今回採用した「オフサイト型」は、企業の敷地外に設置した発電設備でつくった電力を、小売電気事業者を介して供給する仕組みだ。
一般的にコーポレートPPAでは再エネを20~25年間、安定的に調達できる。発電事業者は太陽光発電設備を開発・運営し、関西電力が小売事業者として電力の調達と供給を担う。
今回の取り組みにより、鉄道事業で使う電力量の約16.2%を新たに再エネで賄う。既存の再エネ導入分と合わせると、鉄道事業全体の約19.8%を再エネで供給できる見込みだ。
対象となるのは南海電鉄の全105駅と、有料特急「サザン」「りんかん」「泉北ライナー」などの列車。すでに再エネで運行する「ラピート」や「こうや」などを含めると、すべての有料特急が再エネによる走行となる。
この導入によって、同社のCO₂排出削減量は年間約1万6000トンを見込む。これは一般家庭およそ6200世帯分の年間排出量に相当する規模だという。
南海グループは環境経営の指針として「南海グループ環境ビジョン2030」を掲げ、2030年度までにCO₂排出量を2013年度比で46%以上削減する目標を設定した。これまでにも高野山ケーブルカーや特急ラピートの再エネ運行、商業施設「なんばパークス」などのカーボンフリー化などを進めてきた。
鉄道は自動車や航空に比べてCO₂排出量が少ない輸送手段とされる。南海電鉄は再エネの活用を拡大することで、鉄道の環境優位性を高める狙いだ。
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