記事のポイント
- 秋田県産米「あきたこまちR」は「低カドミウム米」として国内で生産・流通が始まった
- 秋田県産の「あきたこまち」は、ほぼ「あきたこまちR」に置き換わりつつある
- しかし、その開発手法や社会的影響について、国内外でさまざまな懸念が指摘されている
■雑誌オルタナ84号:日本農業 常識と非常識の間(62)
ぼくは有機農業を普及しようと思い立って50年が過ぎた。その間、様々な問題にぶつかってきたが、農水省、秋田県ともども、よほど情報を閉じていたのか、「あきたこまちR」という米を知ったのはごく最近のことだ。
一言でいえば、重イオンビームという放射線を照射して育種された米である。「あきたこまち」といえば、秋田県のブランド米だと、ほとんどの人が知っているだろう。ブランド米流通量ではコシヒカリ、ひとめぼれに続き3位をキープしている。その長い歴史と従来の育種技術による開発物語も魅力的で、秋田県の積極的ブランド化が功を奏して、今やブランド米の3位を常に保持している。
重イオンビームは、これまでの放射線育種(γ線)に比較し、かなり強い放射線を使用している。日本発の新しい技術で、遺伝子に対する影響のレベルが違う。この重イオンビーム放射線を照射することで、カドミウムを吸収する遺伝子(OsNramp5)を破壊した「コシヒカリ環1号」という品種と、「あきたこまち」をかけ合わせ、7回の戻し交配をすることで、開発された品種が「あきたこまちR」である。
その目的はカドミウムの吸収を低く抑えることにある。農水省は従来型の突然変異育種として非GMOに分類している。ちなみにカドミウムを低く抑える方法は、環境改善を前提にした方法が幾つもある。

