ネットゼロ達成への自信、G7で日本が最も低く: その理由は

記事のポイント


  1. 英国規格協会はG7各国の企業経営者7068人を対象にした調査を公表した
  2. ネットゼロへの自信を聞いた質問では、G7の中で日本が最も低かった
  3. 政策の不確実性が高く、投資判断が困難であることなどが背景にある

英国規格協会(BSI)は4月14日、G7各国の企業経営者7068人を対象にした脱炭素推進に関する調査を公表した。その結果、G7の中で日本がネットゼロ達成への自信が最も低かった。政策の不確実性が高く、投資判断に迷うことなどが要因に挙がった。(オルタナ輪番編集長=池田真隆)

ネットゼロ達成への自信について聞いた質問では、日本が最も低く43%だった 出典:BSI

BSIの調査によると、日本企業で2050年までのネットゼロ達成目標を掲げている割合は69%にとどまり、G7平均の83%を大きく下回った。個別の国別数値は公表されていないものの、平均値との比較から日本の遅れが際立つ。ネットゼロ達成への自信も43%とG7平均の55%を下回り、温室効果ガス(GHG)排出量データの信頼性についても67%(同78%)と最低水準となった。

一方で、脱炭素の必要性に対する認識自体は高かった。日本のビジネスリーダーの71%が、再生可能エネルギーに移行しないことによるリスクは、移行リスクを上回ると回答した。79%が気候変動への備え不足による将来コストを懸念し、82%がサプライチェーンへの影響を認識していた。

しかし、実行面では課題が多い。日本企業の72%が政策の不確実性を理由に投資判断が困難と回答しており、政策の不透明さが大きな障壁となっていた。加えて、コスト負担や人材・スキル不足、明確なガイドラインの欠如も進展を妨げる要因として挙げられた。

■脱炭素と経済成長の両立可能と考える経営者は7割に

脱炭素への投資判断に迷う日本企業が多くいる中でも、その取り組みが後退しているわけではない。G7全体で83%がネットゼロに取り組んでおり、日本でも71%がネットゼロはビジネスに有益と回答した。顧客ニーズや競争力の観点からも、脱炭素は重要な経営課題と位置付けられていることが分かった。

日本企業の69%が脱炭素と経済成長の両立が可能と回答し、71%が雇用創出やエネルギー安全保障への寄与を期待するなど、機会としての認識も広がる。ただし、これらの数値はいずれもG7平均を下回り、慎重な姿勢が浮き彫りとなった。

この調査を踏まえて、BSIのスーザン・テイラー・マーティンCEOは、「地政学的な緊張の高まりは再生可能エネルギーへの移行の必要性を改めて示した」と指摘した。その上で、気候変動への対応はリスク軽減やサプライチェーン管理、将来への備えといった観点からレジリエンスな戦略として捉える必要があると強調した。

多くの企業がすでにこの考え方を取り入れており、「ネットゼロへの投資を怠ることが長期的に事業運営を脅かす可能性がある」と警鐘を鳴らした。

M.Ikeda

池田 真隆 (オルタナ輪番編集長)

株式会社オルタナ取締役、オルタナ輪番編集長 1989年東京都生まれ。立教大学文学部卒業。 環境省「中小企業の環境経営のあり方検討会」委員、農林水産省「2027年国際園芸博覧会政府出展検討会」委員、「エコアクション21」オブザイヤー審査員、社会福祉HERO’S TOKYO 最終審査員、Jリーグ「シャレン!」審査委員など。

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キーワード: #脱炭素

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