記事のポイント
- 米ホワイトハウスの夕食会で銃撃事件が発生し、夕食会は中止になった
- 提供されなかった約2600食分のステーキとロブスターは、寄付された
- なぜ米国では食品寄付が臨機応変に機能するのか
米ホワイトハウスの夕食会で2026年4月25日、銃撃事件が発生し、開始30分ほどで会は中止となった。提供できなかった約2600食分のステーキとロブスターは、開催場所のヒルトンホテルがすぐにフリーズドライ加工をして寄付をした。このように臨機応変に食品寄付が機能する理由に、米国の法制度がある。(オルタナ客員論説委員=井出留美)

2026年4月25日、米ワシントンのヒルトンホテルで開かれたホワイトハウス記者会主催の夕食会で銃撃事件が発生し、開始30分ほどで中止になった。提供できなかった約2600食分のステーキとロブスターは、ヒルトンホテルがフリーズドライ加工し、虐待を受けた女性や子どもたちの保護施設2か所に寄付された。
もしこれが日本なら「万一の食中毒が心配」と廃棄されただろう。なぜ米国では食品寄付が臨機応変に機能するのだろうか。
これを支えたのが1996年制定の連邦法「ビル・エマーソン善きサマリア人(びと)食品寄付法」だ。この法律は、善意で食品を非営利団体などに寄付した個人や企業に対し、寄付食品に起因する民事・刑事の責任を限定的に免除する。
2022年に成立し、2023年1月にバイデン前大統領が署名した「食品寄付改善法」では、保護範囲がさらに拡大した。小売・卸・農家・飲食店・ケータリング・学校給食機関などが寄付する場合も免責対象になった。
今回、ホテルから保護施設へスムーズに、直接寄付できた理由はここにある。
ひるがえって、日本はどうだろうか。2019年に食品ロス削減推進法が施行されたが、寄付者の免責を明記した法律はない。免責法の代わりに2026月4月から政府による「フードバンク認証制度」が始まった。筆者は2012年から免責法導入を政策提言してきたが、導入は実現するのだろうか。
もし同じ事件が日本で起きていたら、余った2600食は捨てられていただろう。東京五輪でも関西万博でも開幕中に寄付はされなかったし、2026年3月にはたった一本の電話で卒業祝いの赤飯2100食が捨てられたくらいだから。



