人権がトレンドとなる時、映画祭をきっかけに

2020年東京五輪・パラリンピックの期間中に、LGBTの交流や情報発信の拠点となる施設を設置する計画を、都内のNPO法人が進めているようです。2010年バンクーバー冬季大会以降、国際スポーツ大会では「プライドハウス」と呼ばれるこうした拠点が開催都市に設けられる事例が増えており、国内では初の試みとなるといいます。

国際オリンピック委員会(IOC)は五輪憲章で性的指向による差別を禁じています。最近は企業によるLGBT支援や差別を禁じる法整備を目指す動きも出ており、社会の変化を促す取り組みとして注目されているのは、先に述べた通りです。

オリンピック憲章では、オリンピズムの根本原則の中で「このオリンピック憲章の定める権利および自由は、人種、肌の色、性別、性的指向、言語、宗教、政治的またはその他の意見、国あるいは社会のルーツ、財産、出自やその他の身分などの理由による、いかなる種類 の差別も受けることなく、確実に享受されなければならない」と、人権尊重の姿勢を明確に示しています。

パラリンピック・ムーブメントは、国連障害者権利条約の精神にしたがい、 障がい者がより包摂される社会の実現を究極の目的としています。

さらに、近年は ISO26000(組織の社会的責任に関する国際規格)の中核主題に位置づけられている「労働慣行」や「公正な事業慣行」に対する注目も高まっています。東京2020大会においても、このような背景を踏まえ、人権・労働・公正な事業慣行等について配慮する必要があります。

このような動きは近年高まりつつある「エシカル消費」と強く関係しています。

「エシカル」は英語のethicalという「倫理的」という意味の単語です。言葉上は難しさのあるものですが、簡単に言えば「人や社会・環境に配慮した」ものを形容して使うようになった単語と言えるでしょう。倫理的と言うより「エシカル」の言葉の方が何となく硬さがなく、身近な存在と受け入れやすさがあるように思われます。

映画祭は問題提起の場として存在する

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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キーワード: #LGBT

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