原田勝広の視点焦点:SDGs『ラベル貼り』を脱する術

原田勝広
オルタナ論説委員
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SDGs(持続可能な開発目標)は日本政府が推進本部を設置、アクションプランで発破をかけるなどで一大ブームとなっていますが、不思議なことに具体的な成功事例が聞こえてきません。一見、もっともらしいようでも、よく見ると既存の事業にSDGsの各ゴールのラベルを貼っているだけの企業が多いように感じます。皆さんの会社は大丈夫ですか?

逆に言うと、やはりそれだけSDGsのゴール達成の難易度が高く、イノーベイティブな発想、事業開発は容易ではないということかもしれません。日本企業は改めて、先進国を含む地球規模の社会課題に取り組むんだという強い意思を確認し、解決策をビジネスとして成り立たせる能力を高める必要があります。果たして成功のポイントはどこにあるのでしょうか。

世界を見渡すとなかなか興味深い成功事例が存在します。2019年の国連SDGs アクション・アワードを受賞した事例から参考になりそうなひとつを紹介しましょう。IBMのブロックチェーン技術を使って海洋プラスチックごみを削減するプラスチック・バンクのプロジェクトです。

IBMはもともとCSRに熱心なコーポレートポリシーを持つ企業として知られており、企業市民活動支援と並んで製品・サービスによる課題解決に取り組んできた実績があります。今回、同社のブロックチェーン技術の提供を受けたのが、社会的企業、プラスチック・バンクです。

これはカナダのバンクーバーで社会起業家の組織の要職にあるデイヴィッド・カッツ氏が創設した企業で、カッツ代表はバンクを作った狙いについて「海洋プラスチックごみの80%は非常に貧しい国から流れ出ている。貧困状態にある人たちは食べ物や住居のことで頭がいっぱいで、リサイクルなんて考えたこともない。しかし、海のプラスチックごみを拾うことで、お店にあるいろんな物が手に入るとしたら話は別だ。プラスチック・バンクはそれを可能にする」といった趣旨の話をしています。

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原田勝広
オルタナ論説委員
日本経済新聞記者・編集委員として活躍し日本新聞協会賞を受賞。明治学院大学教授に就任後の専門はCSR論、NGO・NPO論、社会起業家論。2018年より現職。著書は『CSR優良企業への挑戦』『ボーダレス化するCSR』など多数。

2019年8月22日(木)18:24

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