原田勝広の視点焦点:「青い地球」を守る賞

原田勝広
オルタナ論説委員

地球サミットを知っている人も少なくなったかもしれません。1992年、ブラジルのリオデジャネイロで開催された国連環境開発会議のことです。

30年近く前になりますが、私は当時、現地で取材したのでよく覚えています。キューバのカストロ首相まで駆け付けたのに、国会の多忙を理由にビデオ・メッセージ(オンラインではありませんよ)という形で顔を見せた日本の宮沢首相はブーイングを浴びました。まだ若かった早見優も姿を見せていましたね。

政府会合の隣で若者たちが討論会を開いたり、自然エネルギーの展示をしていました。不思議な雰囲気でしたが、その後、日本でもブームを呼ぶNGOの人たちでした。

地球サミットではふたつの重要な条約、気候変動枠組条約と生物多様性条約に各国が署名しました。そこには、地球が危ないという明確なメッセージがあり、間違いなく、あの場所からひとつの歴史が始まったのです。

この会議をきっかけに日本のある企業がひとつの賞を創設しました。公益財団法人旭硝子財団のブループラネット賞で、地球環境問題の解決に、著しい貢献をした人に贈られます。賞の名称は宇宙飛行士ガガーリンが発した「地球は青かった」という言葉に由来しています。

当時、売れっ子だった環境活動家のレスター・ブラウン氏や経済学者、ジェフリー・サックス氏などそうそうたるメンバーがこの賞を受賞しています。

昨年受賞したカリフォルニア大学ロサンゼルス校のジャレド・ダイアモンド教授は、人類生態学者で、「銃・病原菌・鉄」「文明崩壊」「危機と人類」などの著書がありますが、昨今のコロナ問題で鋭いコメントを発しています。

「疫病は世界史の転換点になりうる。スペインが中南米のアステカやインカを滅ぼし植民地化できたのは、スペイン人が宿していた天然痘が先住民の間で大流行し、人口の95%が犠牲になったからだ」

「次に現れるであろう新型ウイルスについて、今すぐ考察を始めるべきだ。なぜなら、2003年にSARSが流行した時、われわれは次なる感染症の大流行について考えることを怠った。その結果、避けられたはずの今回のコロナの感染拡大を許してしまった」

「新型コロナウイルス問題への対処が、気候変動のように世界が団結して立ち向かう際のモデルとなることを期待している」

ブループラネット賞の受賞が、偉大な知性の発信の機会を増やすのに貢献しているのは間違いありません。

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原田勝広
オルタナ論説委員
日本経済新聞記者・編集委員として活躍。大企業の不正をスクープし、企業の社会的責任の重要性を訴えたことで日本新聞協会賞を受賞。明治学院大学教授に就任後の専門は国連、CSR, ESG・SDGs論。2018年より現職。著書は『CSR優良企業への挑戦』など多数。

2020年6月4日(木)16:33

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