ひきこもりパレードをオンライン開催、当事者ら参加

6月24日の夜、SNS上に「ひきこもりパレード」というタグが並んだ。これはひきこもり当事者の呼びかけで、ひきこもり経験者たちが自らの経験、思いを言葉や写真・絵などで投稿したものだ。多い時には1分間に6、7つのタグが投稿されていた。(ライター・遠藤一)

ひきこもり経験者が投稿したイラスト・動画がSNSのタイムラインを彩る

投稿にはひきこもり経験者と思われる人たちによる、出かけてみた時の風景写真や、ひきこもっていた時代に作った手芸品や自作マンガなどが並んだ。

また「肩書きについて聞かれるのが嫌すぎて、人間関係を作れない」「プライドが高くて孤立。助けてと言えなきゃダメだと分かってはいるけど、少しずつ歩き出したい」など心の内が綴られるなどしていた。

呼びかけ人は、ひきこもり経験の長い「おがたけ」さん。開催したいと思ったきっかけは3つほどあった。

一つは、おがたけさんが10年ほど前に、性的マイノリティが渋谷でパレードを行う「東京レインボープライド(TRP/現在の名称)」に参加した時のこと。当時のおがたけさんは、基本はひきこもりながらも、自分の関心があるイベントなどがあると、年に数回ほど出かけることがあった。TRPは「性的少数者が、差別や偏見にさらされず、前向きに生活できる社会の実現(Wikipediaより)」を目指すイベントだ。

パレードに参加したことを外出できないひきこもり友だちに話すと「ツイッターでもひきこもりのデモができないかな」と関心を持たれたと言う。

そこで突発的に「ひきこもりデモ」をやってみたものの、「その時にはひきこもり自称の人も他にいなかったし、SNSでタグ文化も広まっておらず、注目も広がりもしなかった」と手応えを感じられなかったのだという。

さらに、5年ほど前から、場面緘黙症の人たちの間で、とあるタグを使った小さなツイッタームーブメントが起こっていた。

タグの名は「肉まんバレンタイン」。これは、特定の場面・状況で話すことができなくなる場面緘黙の人たちを中心に、最寄りのコンビニで「店員さんに声をかけて」肉まんを注文してみよう、という試みだ。

タイムラインには、慣れない声かけやメモ、指さしなどで購入した様々な肉まんの画像が「買えたよ」という声とともに並ぶ。

おがたけさんは毎年「いいな」と思いつつ、参加しそこねていた。場面緘黙の人たちばかりでなく、ひきこもり当事者たちについても「昔に比べたら、SNSで当事者がカムアウトしている人がすごく増えたな。こんなに増えたら、自分のアカウントで投稿していれば、届く人には届くのかも」と思ったと言う。

そして今年6月7日、青森の性的マイノリティたちが中心となったオンラインパレード「青森レインボーパレード2020」が行われた。地方都市・青森でも性的少数者たちによるパレードが2014年から行われてきたが、今年はコロナ禍によりオンライン化。主催者の動画配信を中心に、参加者それぞれがSNS等で投稿するなどで行われることとなった。

おがたけさんは「自分も事前に、『フロート車』として船の画像を投稿したり、当日を待つのがワクワクするほど楽しかった。こういう感じならやれるかも」と感じた。そこで、青森レインボーパレード開催の1週間前ほどから「ひきこもりパレード」を開催しようと呼びかけ始めたのだ。

「パレード」では、何かを訴えたかったのだろうか。

おがたけさんは、渋谷のレインボーパレードには何度か行っているが「自分が(レインボーパレードで)伝えたかったのは『ひきこもりで、セクシュアルマイノリティもいるんだよ』『(おがたけさんが住む)東松山にも(ひきこもりもセクマイも)いるからね』ということ。それは沿道や街の人だけに伝えてもしょうがないことで、同じひきこもりやセクマイ当事者たちに伝えたいこと。パレードでプラカードを掲げるだけでなく、(代々木公園内)会場内を練り歩いていた」と言う。
 
「ひきこもりパレード」では「自分の好きなものや、おすすめのものを投稿するだけでも、自分を出すことになると思う。私のフォロワーさんで、鍵アカウントにしていつも死にたい死にたいと書いているひきこもりの人がいる。その方は今回参加はしなかったけれど、参加できる形を最小限にしたみたよ」と、できるだけ敷居の低い形での「パレード」にしたかったと言う。

おがたけさんが印象的に感じた「パレード」の投稿は「スクロールしていると、ほんとに沿道からパレード眺めてる気分になるね」とパレードが可視化されたというもの。また「寝過ごした&忘れてた」「参加するつもりだったのに、22時(※開始時間)になる前に寝ちゃってた」などの寝過ごし報告も多く「ひきこもりっぽくて気に入ってます」と笑った。

2020年7月1日(水)17:00

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