世界の食品・飲料企業による人権対応、セブン22位

英国の人権NGO「KnowTheChain」が、食品・飲料業界の世界大手43社の労働者への人権対応を評価したランキングを発表した。ベンチマーク(基準)としての評価対象となった日本企業3社はいずれも平均を下回り、最高位のセブン&アイホールディングスでも22位にとどまった。特に国内の技能実習生の置かれている状況について厳しい指摘がなされている。(武田和代)

労働者への人権対応を評価した「2020 Food and Beverage Benchmark」

同NGOは英国に本部を置き、ビジネスにおける人権侵害に焦点を当てた調査や企業への改善要求などを展開している。今回の調査は3回目で、コカ・コーラ・カンパニーやネスレ、ケロッグ、キャンベル・スープ、ウォルマート、カルフールなど大手43社を対象に選び、各社の取引先行動指針や実際の取り組みなどについて、「調達行動」「労働者の声」など7テーマについて評価した。

特に今回は、自社だけでなく、サプライチェーンにおける強制労働リスクへの取り組みも評価した。日本企業では、サントリー食品インターナショナルとイオン、セブン&アイホールディングスの3社が調査対象となった。

43社の中では、英国のスーパーマーケットチェーンのテスコが、サプライヤー契約の中で、早期支払いの実現や、責任ある調達行動を実践しており、労働者の声を積極的に収集している点などが一定の評価を得て、65点と最も高かった。一方、日本企業は、一番上位でセブンの22点、イオン17点、サントリー8点で、いずれも平均28点を下回った。

近年、多くの日本企業がパーム油の責任ある調達のための施策の情報開示を進める一方で、その他の商品に関する調達情報はまだまだ不十分である実態が浮き彫りになった。

報告書によると、日本では食品・飲料製造の現場で技能実習生を含む移民労働者が10%を占めるといわれており、コロナ禍の拡大で、外国人労働者の解雇や、就業機会の不足や制限などのケースが目立っている。

日本政府は無職の外国人労働者を人手不足が深刻な部門で雇用する政策を進め、特に農業部門では外国人労働者の存在が顕著にもかかわらず、超過勤務などの労働違反行為が目立っている。コロナ禍による渡航制限で帰国できない実習生は2万人を超え、預金を切り崩して生活しているという。

外務省は先日、企業活動に人権尊重を促す「ビジネスと人権に関する国別行動計画(NAP)」を発表したが、実効性がなく、あいまいな指針にとどまっている。諸外国と比べ、日本企業が人権に関する指導原則の導入が遅れていることは、機関投資家や国際NGOから再三指摘されている。

世界ではサプライチェーンを含む、人権保護や労働環境改善に関する議論がこれまで以上に活発になっており、措置が不十分な日本企業の対応について、投資家が注視している。同NGOは劣悪な労働環境が指摘されるアパレル業界についても来春、報告書を取りまとめる予定だ。

2020年10月23日(金)11:19

ご購読のお申し込み

alternaショップ
ページの先頭に戻る↑