■ ギャップ分析後、指導原則との一致目指す
2011年、海運企業のマースク社(本社:デンマーク)は、外部専門家とともに、「国連ビジネスと人権に関する指導原則」が期待するフレームワークと自社の今までの人権の取り組みとの間のギャップ分析を実施した。
ギャップ分析実施後、M&Aに関連する人権スクリーニングのデュー・ディリジェンスを含んだ形で、指導原則と一致するようにいくつかの取り組みを実施。人権のフレームワークは、ギャップ分析を基に開発され、マースク・グループの「人権の為の行動計画2012―2013」を発行している。
マースクの行動計画では以下のことを実施するとしている。
1)人権リスクを防止するための措置のマッピングと統合
2)非常にリスクが高い地域・国における指導原則の適用の調査
3)運用レベルの苦情処理メカニズムの設定
4)法的、契約プロセスの確認
グループ全体での人権に関する影響を知り、そして公表を実施していく。また、ギャップを見つけた時点で、それを埋めていくことを目標としている。
ザ・コカコーラ・カンパニー(本社:アメリカ)では、2011年初頭、デンマーク人権研究所に同社のグローバル方針のギャップ分析を依頼。その後「人権声明」と「職場の権利に関する方針」を更新した。そのギャップを埋める為に、差別的発言、先住民やその他の問題について新しいガイダンスを追加し、オンラインの管理者ガイドを更新した。
このように現在の欧州先進企業の人権に関する取り組みは、今までそれぞれ培ってきた「人権プログラム」と「国連ビジネスと人権に関する指導原則」とのギャップを認識して、現状までの取り組みと何が違うのか、今後何をする必要があるのかのギャップ分析を実施、次の活動へと結び付けている。(在ロンドンCSRコンサルタント・下田屋毅)
| TOP |