効果的な統合レポート、5つのポイント【CSRコミュニケーションのこれから】

4.適切・簡潔なボリュームで
情報を詰め込みすぎず、通読可能なページ数であることが望ましいと考えます。海外企業の統合レポートでは数百ページに及ぶものもありますが、読者からすれば、効率よくより多くの企業の情報に接するために、一度で読み切れる程度のボリュームを望んでいるはずです。(ご参考:ワコールホールディングス、読み疲れのしない適度な文章量)
5.(読まなくてもわかる)直感的なデザインに
統合レポートでは、文字を追わなくても一目見て理解できるデザインが適しています。より多くの読者に、より自社の理解を深めてもらうため、ビジュアルに訴えたわかりやすいデザインとするべきです。いくら素晴らしいストーリーを組み上げても、見て理解してもらわなくては何の役にも立ちません。(例:日本政策投資銀行、ダイナミックな写真とコンパクトなコピー)

企業価値を伝えるという原点に立ち返る

統合レポートについては、ここ1、2年の意識の高まりにより、発行する意義や何を伝えるべきかといった理念的な側面の理解は進んだように思います。しかし実際に実制作の現場に立ち向かってみると、いろいろな課題が見えてきました。

中でも最大の課題はアニュアルレポート情報(財務情報)とCSRレポート情報(非財務情報)の連携を具体的にどうするのかということです。初めて発行に取り組む企業はもちろんのこと、まずは合体版でとスタートさせた企業もそこから先をどうするのかという課題で苦労をされているようです。

統合レポートのあり方についてさまざまに議論がある中で、明確な答えがあるわけではありませんが、企業価値を伝えるという原点に立ち返り、財務、非財務の枠組みを超えて、自社の企業価値、強み、存在意義はどこにあるのかを再認識・再構成することが必要なのではないでしょうか。それでこそ、コミュニケーションツールとして統合レポートが大きな威力を発揮するはずです。

【かとう・きみあき】10 年以上にわたり、IRビジネスに関わる。株主通信、IRWebサイトなどの個人投資家とのコミュニケーション施策、株主総会の企画・運営、アニュアルレポートの発行など数多くの案件を手掛ける。また金融機関の実績が豊富で、特にディスクロージャー誌については毎年分析資料を発行し、最新動向の把握に努める。

(この記事は株式会社オルタナが発行する「CSRmonthly」第7号(2013年4月5日発行)から転載しました)

加藤 公明氏の連載は毎月発行のCSR担当者向けのニュースレター「CSRmonthly」でお読みいただけます。詳しくはこちら

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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