記事のポイント
- 故郷を追われたロヒンギャ難民の旅路を描いた映画が全国で上映中だ
- 主役の姉弟を始め200人以上のロヒンギャ当事者が出演し日本人監督が制作した
- 子どもの目線から描く普遍的な人間の営みが観客と世界をつなぐ
故郷を追われたロヒンギャ難民の旅路を描いた映画「LOST LAND / ロストランド」が全国で上映中だ。バングラデシュ、タイ、マレーシアの三か国を舞台に200人以上の演技未経験のロヒンギャ当事者が出演した。複雑な政治的背景をあえて説明せず、子どもの目線から普遍的な人間の営みを描き、観客の強い共感を生んでいる。(エシカルライター・宮野かがり)

イスラム系少数民族ロヒンギャは、ミャンマーで何世代にも根付いてきた民族だが少数派イスラム教徒であることを理由に政府から不法移民と位置付けられている。2017年に大規模武力弾圧が発生後、その多くが隣国バングラデシュへ逃れ累計100万人が世界最大級と言われる難民キャンプに身を寄せる。両政府ともロヒンギャを自国民とは認めず、無国籍状態が続く。
本作は、主人公の姉弟がバングラディシュの難民キャンプより叔父の住むマレーシアを目指す約一か月に渡る道のりを軸に展開される。ミャンマーや東南アジアを見つめてきた藤元明緒監督が多国籍チームを組み制作した。
正規ルートは存在せず、違法ブローカーに身を委ねた旅は命がけで想像を絶するものである。脚本は当事者などからのヒアリングを重ね作成され、観客は子どもたちの目線よりその旅路を疑似体験する。

長年ミャンマーに関わり、2021年の軍事クーデター後には支援活動も行うがタブー視されるロヒンギャ問題には沈黙し続けてきたと言う藤本監督。その葛藤と向き合う過程で生まれた作品だ。
5月6日、ポレポレ東中野で上映後弟役のシャフィと姉役のソミーラがオンラインで舞台挨拶に登壇した。約100人の日本の観客を前に、将来の夢についてシャフィは「警察官」、ソミーラは「先生」と語った。



