記事のポイント
- 「アンガーマネジメント経営賞」の大賞に静岡県の遠州鉄道が輝いた
- 同賞は多様性を尊重する組織文化の醸成に取り組む企業・団体を表彰する
- 「ビジョン」「人権尊重」「組織風土」「教育」「制度」の5つの観点で審査する
一般社団法人日本アンガーマネジメント協会(東京・港)は6月4日、第4回「アンガーマネジメント経営賞」の表彰式を都内で開いた。同賞は、多様性を尊重する組織文化の醸成に取り組む企業・団体を表彰する。大賞には静岡県の遠州鉄道が輝いた。(オルタナ輪番編集長=池田真隆)

「アンガーマネジメント経営賞」は、ハラスメントのない職場づくりを評価するもので、日本アンガーマネジメント協会が2023年に立ち上げた。人権尊重やハラスメント防止を経営課題として捉え、組織風土の改革に取り組む企業・団体を顕彰する。
今回の大賞には遠州鉄道が輝いた。諏訪市役所と港区教育委員会が「アンガーマネジメント経営賞」を受賞した。
審査では、「ビジョン・方針」「人権尊重」「組織風土」「教育」「しくみ・制度」の5つの観点から評価した。経営理念や中期計画に人権尊重やダイバーシティ推進を明記しているか、従業員同士が相互に尊重しながら働ける環境が整っているか、継続的な教育機会や制度が整備されているかなどを総合的に判断する。
近年、企業経営において人的資本への注目が高まるなか、ハラスメント防止や心理的安全性の確保は重要な経営課題だ。アンガーマネジメントは、怒りを抑え込むのではなく、自らの感情を理解し、建設的な行動につなげるための心理トレーニングとして知られる。
表彰式で協会ファウンダーの安藤俊介氏は、「怒りの連鎖を断ち切ることが社会課題の解決につながる」と強調した。その上で、「アンガーマネジメントを共通言語として、お互いの人権を尊重し、ハラスメントや差別のない企業が増えることを目指したい」と語った。
同協会の松島徹・代表理事は、「現代の組織では世代間ギャップや価値観の多様化によって、人と人との関わり方が大きく変化している」と指摘した。制度やルールだけではなく、違いを受け止めながら対話し、適切な行動を選択できる力が求められていると説明した。
アンガーマネジメントは1970年代に米国で開発された。もともとはDVや差別行為、軽犯罪者向けの矯正プログラムとして活用されたが、現在では企業や教育機関、医療現場など幅広い分野に広がっている。日本でも2011年に日本アンガーマネジメント協会が設立され、企業研修や教育現場での導入が進む。
人的資本経営やDE&I(多様性・公平性・包摂性)への関心が高まるなか、従業員一人ひとりが安心して能力を発揮できる職場環境づくりは企業価値向上の重要な要素となっている。



