「ホルムズ危機で日本に7兆円超の損失」:国際環境NGOが試算

記事のポイント


  1. 環境NGOはホムルズ危機で日本は7兆円超の損失を被るリスクがあると試算
  2. 原油・ガス価格の高騰によるエネルギーコストの上昇が主な原因だ
  3. 同団体は政府に再エネとエネ効率化への投資を優先するよう提言した

気候変動に取り組む国際環境NGO「350.org(スリーフィフティードットオルグ)」の日本支部は7月24日、ホルムズ海峡周辺の緊張による原油・ガス価格の高騰が、日本経済に最大7兆円超の追加負担をもたらす可能性があるとの分析を発表した。同団体は、エネルギー安全保障リスクと家計負担の双方を軽減するため、化石燃料への依存から再生可能エネルギーへの転換を急ぐべきだと訴えた。(オルタナ輪番編集長=池田真隆)

日本は一次エネルギーの多くを海外から輸入する化石燃料に依存しており、中東情勢の変化は家計や企業活動に直結する

国際環境NGOのスリーフィフティードットオルグはこのほど、イラン情勢を背景としたホルムズ海峡周辺の緊張が続いた場合、日本が2026年末までに7兆2385億~7兆6193億円の追加負担を被るとの試算を発表した。情勢が早期に正常化した場合でも、原油・天然ガス価格の高騰による負担は4兆4900億~4兆7263億円に上ると見込む。

同団体によると、日本国民はすでに原油・ガス価格の上昇によって約187億5000万ドル(約2兆8000億円規模)の追加負担を強いられているという。

今回の分析は、国際通貨基金(IMF)の「2026年4月版世界経済見通し」と、2月28日に起きたイラン核戦争以降の日本の消費データなどを基に算出した。

価格上昇による直接的な影響を対象としており、食料や肥料価格の高騰、インフレ、経済活動の停滞といった二次的な影響は含まれていない。そのため、実際の経済損失はさらに大きくなる可能性があると指摘した。

日本のエネ供給の脆弱性が浮き彫りに

日本は一次エネルギーの多くを海外から輸入する化石燃料に依存しており、中東情勢の変化が家計や企業活動に直結する。ホルムズ海峡を巡る地政学リスクが、日本のエネルギー供給の脆弱性を改めて浮き彫りにした形だ。

同日開催した記者会見で、同団体の日本支部に所属する伊与田昌慶キャンペーナーは、「化石燃料依存による7兆円を超えるエネルギーコストの高騰は看過できない」と強調した。

その上で、「輸入する石油・ガスへの依存を断ち切らなければ、日本の家計は不安定な化石燃料市場に翻弄され続ける」と述べ、国内の再生可能エネルギーや省エネルギー投資の拡大を求めた。

同団体は政府に対し、石炭火力や原子力の維持・拡大、米国産石油・天然ガスへの大型投資を見直し、再生可能エネルギーとエネルギー効率化への投資を優先するよう提言した。こうした投資は、中長期的なエネルギーコストの抑制だけでなく、気候変動対策やエネルギー安全保障の強化にもつながるとした。

会見には、同団体の米国本部に所属するキャンディス・フォーティン・キャンペーンマネージャーも登壇し、「新たな化石燃料インフラへの巨額投資は、将来的に『座礁資産』となるリスクがある」と指摘した。再生可能エネルギー技術のコスト低下が進む中で、化石燃料への依存を続けることは経済合理性の面でも課題が大きいとの見方を示した。

M.Ikeda

池田 真隆 (オルタナ輪番編集長)

株式会社オルタナ取締役、オルタナ輪番編集長 1989年東京都生まれ。立教大学文学部卒業。 環境省「中小企業の環境経営のあり方検討会」委員、農林水産省「2027年国際園芸博覧会政府出展検討会」委員、「エコアクション21」オブザイヤー審査員、社会福祉HERO’S TOKYO 最終審査員、Jリーグ「シャレン!」審査委員など。

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