記事のポイント
- 国際金属・鉱業評議会は世界の鉱業・金属施設の66%が水リスクに直面と公表
- 鉱物は脱炭素に不可欠だが、生産に大量の水が必要で水リスクの制約を受ける
- 一方、国連大学は重要鉱物の採掘そのものが水不足を招くと指摘している
世界の主要な鉱山・金属企業が加盟する国際金属・鉱業評議会(ICMM)はこのほど、世界の鉱業・金属関連施設の66%が水ストレスや干ばつなどの水リスクに直面しているとの報告書を公表した。鉱物は脱炭素には不可欠だが、その生産には大量の水が必要で、水リスクによる制約を受ける。一方、国連大学は重要鉱物の採掘が水不足や環境負荷をもたらす実態を指摘しており、脱炭素と水資源をめぐる課題が浮かび上がっている。(オルタナ編集部・川原莉奈)

電気自動車(EV)や再生可能エネルギーの普及に伴い、リチウムやコバルトなどの重要鉱物の需要は世界的に拡大している。これらを含む鉱物・金属資源は、低炭素社会への移行を支える重要な基盤だが、採掘や加工には水資源が必要で、水リスクが生産条件の制約となっている。
ICMMは、鉱山や製錬所、精製所、工場など世界に約1万2000カ所ある鉱業・金属関連施設を分析した。その結果、それら施設の65.7%が、少なくとも1つの物理的水リスク指標で高いリスクにさらされていることが分かった。
物理的水リスク指標には、水ストレス(水需要と利用可能な水資源のバランスが逼迫している状態)や水資源枯渇、干ばつ、洪水、水供給の年々変動などが含まれる。
こうした鉱業・金属業界における水リスクは世界全体に及ぶ一方、その性質は多様であり、地域や鉱種によって異なる。
一部の施設では水をめぐる競争が慢性化しているが、別の施設では干ばつや洪水、あるいは年ごとに予測しにくい水の供給状況に直面している。
一方、国連大学水・環境・保健研究所(UNU-INWEH)は2026年4月、報告書「Critical Minerals, Water Insecurity and Injustice(重要鉱物、水不安、そして不正義)」で、重要鉱物の採掘そのものが水不足や環境汚染につながっている実態を指摘した。
報告書では、エネルギー転換が不可欠であることを前提としながらも、水不足や環境汚染などの影響が貧困層や先住民など採掘地域の脆弱な人々に不均衡な負担として押し付けられていると分析している。
今後のエネルギー転換では、資源確保だけでなく、採掘地域の水資源や環境への影響をどう管理するかが問われている。



