「ICC赤根所長への制裁の即時撤回を」教え子らが17万人超の署名届ける

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記事のポイント


  1. トランプ政権によるICC赤根所長への制裁撤回を求める署名が政府に提出された
  2. 署名の数は、約1カ月で17万4602人に上り、今後も継続して集めていく
  3. 「短期間で17万超の署名が集まったことを重く受け止める」と尾崎内閣官房副長官

米トランプ政権によるICC(国際刑事裁判所)赤根智子所長に対する制裁の撤回などを求めた署名が2026年10月1日、日本政府に提出された。赤根所長の教え子ら有志で構成するネットワーク・JIRoL(ジロル)と認定・特定非営利活動法人ヒューマンライツ・ナウが署名活動を始めてから約1カ月で、17万4602人もの署名が集まった。署名を受け取った尾崎内閣官房副長官はJIRoLに「重く受け止める」と伝えた。(オルタナ輪番編集長=北村佳代子)

JIRoLが署名提出
記者会見を行ったJIRoLとヒューマンライツ・ナウのメンバー
(撮影:Change.org Japan)

米トランプ政権は2025年2月に、ICCの検察官や裁判官に対する制裁を加える大統領令を発動し、2026年8月18日にICCの赤根所長を制裁対象に加えた。これを受けてJIRoL(Japan International Rule of Law network、ジロル)は8月20日、ヒューマンライツ・ナウとともに、ネット署名サイト「Change.org」などで署名活動を開始した。

署名の趣旨は、「ICCの赤根所長に対する米国による制裁の即時撤回を求めます。日本政府は制裁を拒否し、赤根所長を支持・保護する具体的行動を取ってください」というものだ。2026年9月29日正午時点で、17万4602筆(オンライン署名のほか自筆も含む)が集まった。日本政府だけでなく、米国政府に届けることも視野に、署名活動は継続していくという。

JIRoLは、名古屋大学法科大学院と中京大学法科大学院で、当時検察官だった赤根所長に刑事実務を教わった教え子有志によるネットワークだ。JIRoLのメンバーらが署名を提出後、ヒューマンライツ・ナウとともに記者会見を開いた。

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■署名はひと手間、それでも声を上げた

JIRoLによると、「ICCを応援したいけれども自分に何ができるのか」という質問が何件も寄せられたという。署名とともにコメントや赤根所長へのメッセージも届いた。

「日本で生きる私たちにとって法の支配や法律は空気や水のように必要不可欠なもの、あって当たり前の存在になっている。大切なものをなくしてから気づいたということにならないように一人ひとりが行動することが大事だと思った」「私は小学生でただの日本人の一人ですがこの署名をすることで1ミリでも世界が平和に近づくことを心から願っています」など、コメントは署名サイトからも確認できる。

署名を手交したJIRoLメンバーの一人・上松健太郎弁護士は、「ICCや赤根所長は制裁を受けてからも、有罪判決を出すなど、今も具体的な事件について一つひとつ手続きを進めている」と説明し、「日本政府にも一人ひとりのコメントについて、一つひとつ向き合ってほしい」との要望を伝えたという。

また記者会見ではJIRoLから、「署名に寄せられたコメントの一つひとつを読むたびに、ここにも一人、あそこにも一人、と空に光る星に導かれる思い。決して無力ではない」との赤根所長からの感謝のコメントの紹介もあった。

■署名を受け取った政府の反応は

JIRoLによると、尾崎内閣官房副長官は、「短期間で17万を超える署名が集まったことは非常に大きなことで、重く受け止めている」とし、「日本は一貫して法の支配を重視しており、ICCを一貫して支持するその立場は明確である」と日本政府の立場を説明した。

そのうえで、先の日米首脳会談でも、日本政府はICCを支持する立場を米国側に明確に伝えており、今後具体的には茂木外務大臣とルビオ米国務長官との間で長期的に協議していくことを決めている、と伝えたという。署名についても、尾崎内閣官房副長官は「皆さんの思いをしっかりと受け止めながら今後の取り組みを進めていきたい」と伝えた。

■「民主主義国として法の支配を守るのは絶対的なこと」

ヒューマンライツ・ナウの加部歩人弁護士は、記者会見の中で、「赤根所長だけでなく、国際刑事司法制度の中核を担うICCの裁判官や検察官ら、そしてICCの組織全体に対する米国政府の攻撃・圧力については到底看過することはできない」と力を込めた。同団体は2026年9月24日、国連人権理事会でも口頭意見表明を行っている。

「(ICCという)いかなる国家や個人の影響力からも独立した刑事司法機関が存在することこそが、正義と救済をもたらし、将来の残虐行為を抑止するための不可欠の前提となる」(加部弁護士)

東京大学院総合文化研究科の阿古智子教授は、「日本は民主主義国として、法の支配を守っていくのは絶対的なこと。なかでも裁判官や弁護士たちが自由に活動できるよう、独立した立場で、権力の介入がなされないようにしていくことを絶対的に保障しなければならない」と話した。

北村(宮子)佳代子(オルタナ輪番編集長)

北村(宮子)佳代子(オルタナ輪番編集長)

オルタナ輪番編集長。アヴニール・ワークス株式会社代表取締役。伊藤忠商事、IIJ、ソニー、ソニーフィナンシャルで、主としてIR・広報を経験後、独立。上場企業のアニュアルレポートや統合報告書などで数多くのトップインタビューを執筆。英国CMI認定サステナビリティ(CSR)プラクティショナー。2023年からオルタナ編集部、2024年1月からオルタナ副編集長。

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キーワード: #人権

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