記事のポイント
- 「国際交流基金賞」に福武總一郎・名誉理事長ら3者が輝いた
- 同賞は文化活動を通じて国際文化交流に貢献した個人・団体を顕彰する
- 福武氏は30年以上に渡り、瀬戸内海の離島で国際交流を促してきた
独立行政法人国際交流基金(JF)は10月21日、2026年度の「国際交流基金賞」の受賞者を発表し、公益財団法人福武財団の福武總一郎・名誉理事長ら3者を選んだ。同賞は学術や芸術などの文化活動を通じて日本と海外の文化交流に貢献した個人・団体を顕彰するものだ。福武氏は30年以上に渡り、瀬戸内海の離島で現代アートを軸に地域活性化と国際交流を促してきた。(オルタナ輪番編集長=池田真隆)

国際交流基⾦賞はJFが設立した翌年の1973年から始まり、2026年度で53回目を迎えた。 同賞では、学術・芸術・文化活動を通じて、国際文化交流の増進などに寄与しいた個人・団体を顕彰する。今年は推薦で集まった86件の中から、福武氏のほか建築設計事務所SANAA(サナア)とドイツのユディツィウム出版社が選ばれた。
福武氏の取り組みは、ベネッセコーポレーションの社長を務めていた1992年から始まった。同年に香川県・直島に「ベネッセハウス ミュージアム」を開館し、その後、豊島や犬島へと活動を広げ、「ベネッセアートサイト直島」を築き上げた。現代美術を地域の日常に溶け込ませる発想は国内外から注目を集め、人口減少や高齢化が進む離島に新たな人の流れを生み出した。
2010年に始まった「瀬戸内国際芸術祭」では、総合プロデューサーとして関わり、2025年まで6回に渡り芸術祭を率いてきた。
2004年には、自らの資産を拠出して福武財団の前身となる直島福武美術館財団を設立した。「文化、芸術によって、活力にあふれた、個性豊かな地域社会の発展に貢献する」という理念の下、美術館運営や芸術祭、地域文化活動への支援を行う。
■「経済は文化の僕」
JFは福武氏の活動を「国際文化交流の裾野を広げた」と評価した。福武氏は授賞式で、アートを通して国際文化交流を促してきた活動を振り返り、社会に届けたい3つのメッセージを読み上げた。
一つ目は、自然からの学びだ。福武氏は、人はもっと自然の中で自然から多くのことを学ぶべきだと語り、「自然こそが人間にとって最大の教師だ」と強調した。
二つ目は、「あるものを生かし、無いものをつくる」という考え方だ。各地域に残るものを壊すことなく、生かして、地域文化を受け継ぐべきだと語った。
最後は、経済を手段に文化を繁栄させていくという考えだ。人が生きる目的を「幸せになるため」とし、そのためには文化が欠かせないと強調した。この考え方を、「経済は文化の僕」という言葉で伝えた。



