日本の海外向け化石燃料支援はG20最大: 世界のクリーンエネ重視に逆行

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記事のポイント


  1. 日本の国際的な化石燃料事業への公的支援は過去3年間で年41億ドルに
  2. 国際協力銀行や日本貿易保険などが支援し、総額はG20で最大に
  3. G20と国際金融機関全体の支援ではクリーンエネが化石燃料を上回った

国際NGOオイル・チェンジ・インターナショナル(OCI)は10月14日、日本の海外の化石燃料事業への公的資金提供額が、20カ国・地域(G20)で最多だったと発表した。2023~25年の年平均で41億ドル(約6500億円)に上り、クリーンエネルギー向け支援額の約1.8倍だった。一方、G20諸国と国際開発金融機関(MDB)全体の支援額では、クリーンエネ向けが初めて化石燃料向けを上回っており、日本のエネルギー支援の姿勢が問われている。(オルタナ副編集長=京正裕之)

■日本の海外支援、化石燃料がクリーンエネの約1.8倍

OCIと米国の環境NGOフレンズ・オブ・ジ・アース(FoE米国)が、G20諸国の開発金融機関(DFI)や輸出信用機関(ECA)、国際開発金融機関による国際的なエネルギー事業への公的支援を分析した。

OCIが公開するデータベース「energyfinance.org」では、国別や機関別、エネルギー源別に資金提供の状況を明らかにしている。日本の集計対象には、国際協力銀行(JBIC)、日本貿易保険(NEXI)、国際協力機構(JICA)、日本政策投資銀行(DBJ)、エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が含まれる。

23~25年の集計対象には、海外の火力発電所の建設や天然ガス田の開発などへの金融支援が含まれる。具体的には、JICAによるバングラデシュのマタバリ石炭火力発電所と関連施設の整備への融資や、JOGMECによるオーストラリアのスカボローガス田開発への出資・債務保証などだ。

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日本の海外向け化石燃料事業への公的支援は、23~25年の年平均で41億ドル。内訳はガスが55%、石油が26%、石炭が14%、石油・ガスの複合事業が4%だった。一方、クリーンエネルギー向けの支援のデータも公開されているが、年平均23億ドルにとどまった。

データベースでは、化石燃料事業の項目にCO2回収・貯留(CCS)や水素もあるが、今回の41億ドルには含まれていない。ただし、OCIの有馬牧子シニア・ファイナンス・キャンペーナーは、オルタナの取材に、CCSを含めた場合でも日本の海外向け化石燃料事業への資金提供額は1位になると説明した。

■開発金融機関の資金提供、日本は石炭が最多

輸出信用機関などを含む国全体の集計と、開発金融機関だけの集計では、日本の支援の特徴が異なることも分かった。

同データベースで日本の開発金融機関として集計されたのは、DBJ、JICA、JOGMECの3機関だ。23~25年の3年間合計で、化石燃料向けの資金提供は約31億ドル、クリーンエネルギー向けは14億ドルとなり、化石燃料向けが2倍以上だった。

化石燃料の中では石炭向けが19億ドルと最も多く、ガス向けの11億ドルを上回った。各国DFIの比較でも、日本の石炭支援の大きさが目立つ。

G20の国別でも資金を提供する事業の違いが明らかになった。ドイツの開発金融機関はクリーンエネルギー向けが74億ドルで、化石燃料向けの24億ドルを大幅に上回った。一方、韓国は化石燃料向けが25億ドル、クリーンエネルギー向けが13億ドルだった。化石燃料向けが多いのは日本と同じ傾向だ。

■国際開発金融機関ではクリーンエネルギー支援が優勢
■海外CCS支援も日本が突出、3年間で6.3億ドル
■国内で回収したCO2の海外輸送計画にも批判

■国際開発金融機関ではクリーンエネルギー支援が優勢

一方、世界銀行などの国際開発金融機関では、クリーンエネルギーへの資金配分が大きい。23~25年の欧州投資銀行(EIB)の支援は、クリーンエネルギー向けが410億ドルだったのに対し、化石燃料向けは5億6000万ドルだった。世界銀行グループも、それぞれ290億ドル、約23億ドルと大きな差がある。

欧州投資銀行は2019年、排出削減対策を伴わないガスなどの化石燃料エネルギー事業への新規融資を2021年末で終了する方針を決めた。再生可能エネルギーや省エネ、送電網などへの支援を優先する方針も明示している。

G20諸国と国際開発金融機関全体では、23~25年の国際的な公的支援は、クリーンエネルギー向けが年平均527億ドルとなり、化石燃料向けの少なくとも363億ドルを初めて上回った。ただ、OCIはクリーンエネルギー支援のうち低所得国に届いた割合は2%に過ぎないと指摘している。

■海外CCS支援も日本が突出、3年間で6.3億ドル

今回のenergyfinance.orgのデータベース更新では、CCSと水素への補助金データも初めて公開された。

同データベースによると、23~25年の日本の海外向けCCS事業への資金提供は、3年間合計で6億3000万ドルに上った。支援機関はJBICで、米国の500万ドル、英国の360万ドルを大幅に上回った。

OCIは25年10月の報告書でも、日本政府が14年以来、CCSと化石燃料由来の水素に計52億ドルの公的資金を投じたと推計している。CCSには、CO2の回収・輸送・貯留にかかるコストや、貯留後の長期的な監視・管理などの課題が指摘されている。

■国内で回収したCO2の海外輸送計画にも批判

日本は、国内の工場や発電所などで回収したCO2を海外へ輸送し、地下に貯留する計画も進めている。JOGMECの先進的CCS事業で選定された9案件のうち、4案件はアジア・大洋州での貯留を想定する。マレーシアでの貯留を想定する3案件と、大洋州の1案件が含まれる。

経済産業省は、マレーシアにはCO2の地中貯留適地が豊富にあるとして、日本国内の産業界で排出されたCO2を同国へ輸送・貯留する事業を検討している。23年には、経産省、JOGMEC、マレーシア国営石油ペトロナスが、CO2の越境輸送・貯留に関する協力覚書を締結した。

有馬氏は、CCSや水素への支援について、化石燃料産業が依存を続けるための「グリーンウォッシュの手口だ」と批判。「化石燃料の生産と消費という根本的な問題の解決にはならない」と指摘した。

さらに、日本で回収したCO2を海外へ輸出する計画を「廃棄物植民地主義」と批判した。その上で、「エネルギー安全保障や気候対策に貢献しない、これらの高価な技術への公的支援は打ち切るべきだ」と述べ、公的支援を再生可能エネルギーへ振り向けるよう求めた。

hkyosho@alterna.co.jp

京正裕之 (オルタナ副編集長)

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キーワード: #化石燃料#脱炭素

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