記事のポイント
- CEV補助金は例年より約2カ月早い12月上旬~下旬に終了する見込みだ
- 車種によっては今から購入しても現行補助金に間に合わない可能性がある
- 申請が間に合わない車両には次年度予算の遡及適用も含めて予算案が折衝中
電気自動車(EV)などの購入を支援する2026年度の国のCEV補助金が、例年より約2カ月早い26年12月上旬から下旬に終了する見込みだ。EV販売が急増する一方、車種によっては今から契約しても申請に間に合わない可能性がある。さらに27年1~3月の補助制度も未確定で、経済産業省は次年度予算を遡及(そきゅう)適用する「救済措置」の可能性も含めて予算交渉を進めている。ただ、遡及適用が実現しても今年度並みの補助額になるか不透明感が残る。(オルタナ副編集長=京正裕之)

「EV補助金、間に合います」「EV購入補助金の終了が近づいています」。都内の自動車ディーラーの店頭では、このような案内が目に付くようになった。現在実施中のEVやプラグインハイブリッド車(PHV)などの新車購入に交付する26年度の「クリーンエネルギー自動車(CEV)導入促進補助金」は、12月上旬から下旬をめどに終了する見込みだと発表されている。
過去3年度に実施されたCEV補助金の終了は、いずれも翌年2月中旬だったのと比べると2カ月早くなる。足元では、26年1~9月のEV販売台数が前年同期比2.2倍の9万6790台と好調で、既に25年通年を上回っている。昨年の高市政権発足後にEV補助金制度が見直され、一部の国産EVの補助額が手厚くなったことが追い風となっている。
CEV補助金の終了見込みは、交付業務を担う次世代自動車振興センターが例年8~9月ごろに公表する。そ後は見通しが更新されるが、これまでは初回の見込みが大きく外れたことはない。つまり、補助金の予算上限に達する時期が、今年は早くなるのはほぼ間違いないといえる。
その上で、CEV補助金は車を契約した時点で確保できるわけではないことがポイントとなる。車両が納車され登録した後に申請する仕組みで、納車時期によっては購入時には補助対象だった車でも申請ができなくなる可能性がある。消費者にとっては例年、補助金申請が間に合うかどうかで購入判断が迫られる時期となる。
■スズキ初の軽EV「納車前に補助金終了の可能性説明」
こうした中、10月6日、スズキが初の軽EV「eスカイ」を11月16日に発売すると発表した。価格は212万円からと国内のEVで最安だ。CEV補助金の交付額は56万8000円で、適用されれば155万2000円からとなる。だが、補助金の申請は間に合うのかどうかが焦点になる。
スズキの広報担当者は、オルタナの取材に対し「11月16日に発売はするが、納車の時期は公表していない」と説明。その上で「納車前に補助金が打ち切りになる可能性も含めて丁寧に説明していく」と話した。
一方、同じく新型モデルを投入している中国・BYDの広報担当者は、「現時点では大幅な納期遅れを想定していない」と話す。同社初の軽EV「RACCO(ラッコ)」の売れ筋グレード「300プレミアム」も9月から入荷し、約1300台の受注残は11月中旬ごろまでに解消する見通しだという。
BYD広報は「現在はほぼ即納できる状態のため、早めの手続きを促している」とするが、11月末以降の納車については、補助金終了のリスクを順次注意喚起するとした。
一方、都内のトヨタ系ディーラーでは、「EVは受注増に熊本地震による半導体の納期遅れが重なり、今夏に発注していても2026年度の補助金には間に合わない可能性が高い」と発注客に再度案内した。
このディーラーでEVを契約した都内在住の経営者は、「現行の補助金には間に合わないため、次の補助金制度を待つ。ただ、補助額が今年より下がればキャンセルする予定だ」と話す。販売店側もこうした対応を認めているという。


