障がいのある人が働きながら技術や知識を身につける就労事業所が、経営悪化を理由に閉鎖したことで、多くの障がいのある人が解雇されるという事態が各地で起きている。
問題となっているのは就労継続支援A型事業所¹⁾といわれる事業所で、障がい者(以下、事業所の「利用者」と呼ぶ)と雇用契約を結び、軽作業などの職業訓練をして都道府県ごとに定める最低賃金以上を支払う義務のある事業所である。運営者には実際の仕事における事業収入の他に、利用者の人数と利用日数に応じて国から障害福祉サービスの給付金が支払われる。
しかし、事業を行なわず給付費だけを受け取るような事業所も存在し、公金を当てにした補助金ビジネスがかねてより問題視されてきた。
厚生労働省は「A型事業所は障害者が地域で自立した生活を送るために公金が投入されており、事業所のための事業ではない」としており、給付金は事業所の収益を上げる目的ではなく、利用者一人ひとりの自立に向けたソーシャルワークに係る費用なのである。
1)「就労継続支援A型事業所」とは?
障害者総合支援法(旧障害者自立支援法)に定められた就労支援事業の一つ。一般企業で働くのが難しい65歳未満の障がい者に、働きながら知識習得や技術訓練をする障害福祉サービスを提供する。事業所は障がい者と雇用契約を結び、原則として最低賃金以上を支払う。
事業普及のために設定された国からの多額の補助を目当てにした企業が参入し、報酬の不正受給や質の低いサービスなどの問題が指摘されている。なお、雇用契約を結ばないB型もある。