――日本ではまだ環境負荷の高いポリエステルのような安価な素材を買う人が一般的かと思います。今後どうしたら消費者の購買行動が、より環境や人権に配慮したものになるとお考えですか。
それは、私たち当事者が現実を伝えていくしかないでしょう。繊維は、綿から糸を経て生地になり、最終的に製品になって消費者に届くまでに、すごく距離があるものです。
見えにくく「ブラックボックス」になっている工程が多いし、分業された工程全てをコントロールする人が今までいませんでした。
アバンティは、全工程にかかわる担当者の顔が見えるものづくりをしているのもあって、その状況に横串をさせる唯一の存在だと思っています。だから、現状を人々にお知らせする責任があると思っています。
大手の小売店がオーガニックコットンを扱い出しています。大きい規模で商売をしてくれることで、オーガニックコットンの市場が広がるのは、いいことだと思っています。
ただ、アバンティはそういうやり方ではなく、一つひとつの製品にストーリーを持たせています。通常のコットンではなく、オーガニックコットンだからこそできた商品であるというメッセージをしっかりと伝えたいと思っているのです。
企業ごとにできることがあると思うので、アバンティは、オーガニックコットンという新素材の獣道を作り、無印良品やH&Mのような大きい規模のところがそれを滑走路にする。このような役割分担で今後も続けていきたいですね。