LGBTに関する法整備が進んでいない日本で、パナソニックやコカ・コーラなどの大手企業から同性婚を求める声が上がり始めた。2020年12月8日時点の賛同企業は138社になる。これらの企業はどうして賛同に至ったのか、これまでの企業のLGBT施策に関する歩みとともに考える。(認定NPO法人虹色ダイバーシティ代表=村木 真紀)
ついに日本もここまで来た。2020年11月18日、私たち、認定NPO法人虹色ダイバーシティと、一般社団法人Marriage For All Japan(MFAJ)、NPO法人LGBTとアライのための法律家ネットワーク(LLAN)が共同で、婚姻の平等(同性婚の法制化)に賛同する企業を可視化するためのキャンペーン「Business for Marriage Equality」を立ち上げ、記者発表を行った。
一緒に登壇していただいたのは、賛同企業の中から、パナソニック株式会社 執行役員・CHRO 三島茂樹さん、日本コカ・コーラ株式会社 人事本部 デピュティ シニアバイスプレジデント パトリック・ジョーダンさん。それぞれの思いを乗せたスピーチに、涙を堪えるのに必死だった。
私は大学卒業後、主に民間企業で経理やコンサルタントとして働いていたが、当時はレズビアンである事をカミングアウトできるような雰囲気ではなかった。ハラスメントも多く、チームに溶け込むのが難しく、転職を繰り返してきた。そうした経験から、2013年にNPOを立ち上げ、LGBTも働きやすい職場づくりに取り組み始めた。
LGBTは人口の3%~8%と言われているが、当初は、数万人の従業員がいる日系大手企業の人事部長から「うちには『そういう人』はいないので」と本気で言われてしまうこともあった。
外資系企業の役員研修、人事部門向けの研修からLGBTに関する施策が始まり、そこで必要性に気づいた企業が、福利厚生を整え、管理職研修をしたり、全従業員にeラーニングを提供したり、と、取り組みを広げてきた。