廃棄への意識改善 アップサイクルとゼロウェイスト

アップサイクルされた商品は製品になる以前の元素材に目を向けやすく、ストーリー性が高いプロダクトと言えるだろう。また、工場で余るデットストックを利用して創る製品などもアップサイクルと言われ、これらの商品は、数量限定で販売される事でプレミア感を仰ぐこともできる。

アップサイクルの商品は廃棄物を再利用する事でゴミ削減につながり環境負荷を軽減できる仕組みとして良い解決方法だと言われてきた。ただ、この考えも疑問が残る。

廃棄物が出なければアップサイクルができないのだ。アップサイクル商品に人気が出過ぎると廃棄されるのを待つことになり、アップサイクル商品に回すからとわざと多めにデットストックを作っていたら元も子もない。アップサイクルは一過性の対処方に過ぎず、課題が残る。

一方、次世代を担う考えが「ゼロウェイスト=廃棄物を出さない」だ。ファッションで言うとゼロウェイストパターンカッティングという手法も登場している。通常、洋服は体のカーブに合わせて曲線にパターン(型紙)が作られ、平面に織られた布を裁断する際にパターンの置き方で隙間ができ、端切れが出てしまうことが多い。

この端切れはどうしても出てしまう廃棄物とされてきたが、この常識を変えるのがゼロウェイストパターンカッティングという手法である。これはパターンの形を計算し、なるべくロスを少なくする方法で最近ではAIの技術も進み、型紙をより細かい三角や四角の集合体に最適化する事で裁断時にまるでパズルのように組み合わせていくことができる。

このように、廃棄物への対処法は後天的な考えから、先天的な考えに変わりつつある。こういった廃棄物への意識の改善は新技術と組み合わすことで、さらに加速すると期待したい。

takemuraio

竹村 伊央 (一般社団法人unisteps共同代表)

1982年名古屋市生まれ。一般社団法人unisteps co-founder / ファッションスタイリスト。高校卒業後渡英し、エシカルファッションムーブメントを作り上げたブランドの1つ、 JUNKY STYLINGに勤務。同時にスタイリストとしてもエシカルを中心としたスタイリングも手がける。 2010年帰国後、2012年にエシカルファッションのPR活動をする団体:ETHICAL FASHION JAPAN(EFJ)を設立。 エシカルの啓発を含めたイベントや講演活動をしながら、2016年よりファッションレボリューションジャパンカントリーコディネーターを務める。【連載】多様で健康的なファッションの未来を考える

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