ユニリーバ・ジャパンは2020年3月、性別への無意識な偏見を取り払う取り組みとして「LUX Social Damage Care Project(ラックス ソーシャルダメージケア プロジェクト)」を始動した。同社の採用選考で必要な書類から性別欄や顔写真の提出を廃止し、企業や団体に向けて同社の取り組みへの賛同を呼びかけた。

ユニリーバ・ジャパンの取り組みに賛同する三井化学は、2021年の新卒採用から①就職活動を行う学生が登録する性別について無回答を可とする②一部職種を除き証明写真の提出を求めない③服装による性差排除のためリクルートスーツの着用を求めない――ことを明言している。

男女雇用機会均等法が定めるとおり、もともと性別を尋ねる必要はないはずだが、履歴書に性別欄があるということに疑問を持つ人は増えてきている。NPOのPOSSE(東京・世田谷)とLGBTQの当事者たちは、2020年6月、オンラインで集めた性別欄の廃止に賛同する約1万人分の署名を経済産業省に提出した。

当事者たちの声を受けて、日本規格協会は7月に同協会が発行するJIS(日本産業規格)の履歴書から性別欄を無くした。JISの履歴書から性別欄が無くなったことがきっかけとなり、コクヨは12月23日、性別欄のない履歴書を発売した。2021年以降、企業や団体の採用選考で性別欄や外見を偏重しない動きがますます加速する見込みだ。

LGBT問題に取り組む認定特定非営利活動法人ReBit(リビット)が2019年に行った調査では、就活時にトランスジェンダーの87%がセクシュアリティに由来した困難を経験したと回答した。

最も多かった回答は「エントリーシートや履歴書に性別記載が必須で困った(47.4%)」だった。その他、リクルートスーツなど男女で服装や髪型などが分かれており、一般社会より強いジェンダー規範を強いられるように感じたという声が上がった。

同団体の薬師実芳代表理事は、「履歴書の性別欄撤廃はトランスジェンダーの就活生にとっては困難の軽減になる」と語る。だが、その一方で、「それだけでは不十分」とし、「服装や役割などの就活時・職場のジェンダーバイアス軽減、面接官の多様な性への理解促進、就労支援機関への相談体制構築など、複合的な対応が求められる」とした。

性的マイノリティが働きやすい職場づくりを目指すNPO虹色ダイバーシティの村木真紀代表は、「(性別欄は)トランスジェンダーの方の就活のハードルになっていたので、なくなるのは当事者にも事業者にも良い話」だとする一方で、「LGBTであっても(それが分かったとしても)、就職や昇進で不利にならないことを事業者が明言し、就活生に情報提供していくことが必要」と話した。

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