日本の桜が危ない:老齢化や病害虫、企業も続々と支援

吉野山では、1300年前からご神木として桜が献木されるようになり、その数を増やしてきた。

吉野桜のほとんどは原生種シロヤマザクラで、葉を付けた後に花を咲かせる。気候によって変動するが、下千本、中千本、上千本、奥千本――と、下から順に開花していく様は荘厳だ。

吉野の人たちは、枯れたところに桜を植えながら、日本の原風景を守ってきた。ところが、近年、幹や枝がウメノキゴケに覆われたり、若い樹が立ち枯れたり、吉野山全域で深刻な被害が進んでいる。

こうした桜の保全活動を支援している企業の一つが、大和ハウス工業だ。同社はDaiwa Sakura Aid(ダイワサクラエイド)という名称で、桜の保全活動を行う。

なぜハウスメーカーが桜の保全に取り組むのか。すべてのきっかけは、1本の電話から始まった。13年前の2008年3月、吉野町の住民から、「衰退する桜を守ってほしい」と電話が掛かってきた。

話を聞くと、創業者・石橋信夫氏の出身地が吉野であり、その縁で支援を依頼してきたという。

自然や和の精神を好んでいた創業者の思いを汲んで、吉野山の桜を守ることに決めた同社は現地で桜の保全を行う公益財団法人吉野山保勝会と出会う。

吉野山保勝会では、桜の調査活動などをしており、この取り組みの支援を始める。

活動初年度は、チャリティーコンサートへの協賛などを行い、2年後の2010年からは社員ボランティアによる活動を本格化させた。

集まった有志社員たちは手分けして苗木の育成事業や、吉野山での募金活動などを行った。こういった活動に参加した社員ボランティアの人数は1118人に及ぶ。

2020年12月に行った吉野山での桜保全活動、苗木の植え替えを行った
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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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キーワード: #SDGs#環境

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