日本の桜が危ない:老齢化や病害虫、企業も続々と支援

目黒川沿いに立地するホテル雅叙園東京(東京・目黒)は、「目黒川のサクラ再生実行計画」に賛同し、目黒川桜並木の老齢化問題を支援する取り組みを始めた。2021年3月から随時販売する桜シーズンの商品の売り上げの一部を「目黒のサクラ基金」に寄付する。

約800本もの桜が並ぶ目黒川沿いの桜並木は、花見シーズンには300万人以上が訪れる都内有数の桜の名所となっている。始まりは昭和初期の目黒川改修工事の際に目黒の人々が両岸一帯に植え始めたものだ。

だが、目黒川の桜の大部分を占めるソメイヨシノの老齢化、生育環境の変化により、樹勢の低下や倒木、枝折れなどが懸念されている。

そこで、目黒区は桜の保護や植え替えを進めるべく、2014年3月に「目黒のサクラ基金」を設立し、この基金を活用して2015年度から目黒のサクラ保全事業に取り組んできた。

樹木診断のもと、危険木の植え替え、根上り対策、植栽間隔の確保、根元周りの保護、植栽管理などの活動に取り組んでいる。しかし、1本の桜を植え替えるには、伐採や抜根、新植などの作業に約100万円がかかるという。

そこで、目黒の桜を守り後世に伝えていきたいと考えた雅叙園は、桜シーズンの宿泊プランや、時期限定の特別メニューなどの売り上げから一部を寄付することに決めた。

吉澤真一朗・ホテル雅叙園東京総支配人は、「当ホテルは、1931年に目黒に移転し、お客さまと地域の方々に支えられ、桜の木々と共に長い年月を歩んできた。その桜の木々も年月の経過や環境の変化のため、一部が被害を受けている。小さな取り組みではあるが、皆さまと一緒になって春に咲き誇る目黒川の桜を守っていきたい」と語った。

■桜を「美しい街の指標」に

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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キーワード: #SDGs#環境

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