企業経営における「人権尊重」の意味は(後)

【連載】サステナビリティ経営戦略(15)

前編では、経営における人権尊重の重要性が世界的に高まる中で、その具体的方法である人権デュー・ディリジェンスの日本企業での導入の遅れをご紹介しました。後編では、EU等での人権デュー・ディリジェンス義務化の進展、企業価値向上に向けた人権デュー・ディリジェンス等について解説します。(サステナビリティ経営研究家=遠藤 直見)

人権デュー・ディリジェンスの義務化の進展

日本では企業への人権デュー・ディリジェンス導入は「期待」に留まっていますが、欧米を中心にビジネスと人権に関するハードロー化(人権デュー・ディリジェンスの義務化)が進んでいます。

たとえば、米国カリフォルニア州の「サプライチェーン透明法」、英国やオーストラリアの「現代奴隷法」、フランスの「企業注意義務法」、オランダの「児童労働デューディリジェンス法」、ドイツの「サプライチェーンにおける人権・環境デューディリジェンス法」、ノルウェーの「人権デューディリジェンス法」等があります。

日本は先進7カ国(G7)で人権デュー・ディリジェンス義務化の準備が進んでいない唯一の国で、ビジネス上の取引や投資等で支障が生じる恐れがあります。各国が関連する立法を競い、「ビジネスと人権に関する指導原則」のハードロー化が急速に進んでいるという点で、今がまさに時代の転換期にあると言えるのかもしれません。

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遠藤 直見(オルタナ編集委員/サステナビリティ経営研究家)

遠藤 直見(オルタナ編集委員/サステナビリティ経営研究家)

東北大学理学部数学科卒。NECでソフトウェア開発、品質企画・推進部門を経て、CSR/サステナビリティ推進業務全般を担当。国際社会経済研究所(NECのシンクタンク系グループ企業)の主幹研究員としてサステナビリティ経営の調査・研究に従事。現在はフリーランスのサステナビリティ経営研究家として「日本企業の持続可能な経営のあるべき姿」についての調査・研究に従事。オルタナ編集委員

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