記事のポイント
- 犬猫の殺処分数は10年で93%減少した一方で、現場の課題は複雑化している
- 保護理由の最多は「飼い主の高齢化・入院・死亡」で、人の福祉課題とも重なる
- 保護団体の76%が「課題は減らない」と回答し、予防的な支援を求めている
犬猫の殺処分数はこの10年で93%減少した一方、保護活動の現場では課題の複雑化が進んでいる。ペットウェルネス事業を展開するPETOKOTO(ペトコト、東京・渋谷)の調査によると、保護団体が保護する理由は「飼い主の高齢化・入院・死亡」が最多で、人の福祉課題とも重なる。保護団体の76%は「課題は減っていない」と回答し、飼育継続が困難になる前の予防的な支援や、人の福祉と連携した仕組みづくりが求められている。(オルタナ編集部・川原莉奈)

保護犬猫を取り巻く環境は、この10年で大きく変化した。
環境省の統計によると、犬猫の殺処分数は2014年度の10万1338頭から2024年度には6830頭となり、大幅に減少した。自治体や保護団体、ボランティア、里親などの取り組みにより、殺処分の削減は着実に進んできた。
こうしたなか、PETOKOTOは全国59の保護団体を対象に調査を実施し、「ペトコトお結び保護犬・保護猫白書2026」を公表した。
現在の保護理由としては、「飼い主の高齢化・入院・死亡」が49件で最多となった。次いで「野犬・野良猫」が31件、「多頭飼育崩壊」が27件、「飼育放棄」が19件、「経済的困窮」が16件だった。

保護犬猫問題は動物福祉の領域にとどまらず、高齢化や経済的困窮など、人の暮らしとも深く関わる社会課題となっていることがうかがえる。
こうした状況は保護団体の運営にも影響を及ぼしている。
保護活動を取り巻く状況について尋ねたところ、「あまり変わらない」が49%、「むしろ(課題は)増えている」が27%となり、計76%が「課題は減っていない」と回答した。殺処分数が減少する一方で、現場の負担は依然として大きいことがわかった。
保護活動における課題としては「医療費負担」が最も多く挙がった。高齢犬猫や慢性疾患を抱える犬猫の保護が増えるなか、継続的な医療費が大きな負担となっている。
さらに保護団体が今後必要と考える支援では「飼い主の高齢化対策」が最多となった。
殺処分減少の裏で飼い主の高齢化や医療負担、人手不足など課題は複雑化しており、飼育継続が困難になる前の予防的な支援が求められている。



