記事のポイント
- 環境NPOが企業向けの「エコロジカル・フットプリント算定ガイドブック」を公開した
- エコロジカル・フットプリントとは、人間活動が自然環境に与える負荷を測る指標だ
- 環境指標が増え全体像が見えにくい中で、自社の強みと課題を可視化できる
特定非営利活動法人エコロジカル・フットプリント・ジャパン(東京・東村山市)はこのほど、企業向け「エコロジカル・フットプリント算定ガイドブック」を公開した。エコロジカル・フットプリント(エコフット)は、企業活動を自然循環の中で捉え直す指標で、富士通グループなどでも活用が進む。環境指標が増える中で、エコフットを使うとどのように自社の強みや課題が整理できるのか、同NPO法人の伊波克典理事に寄稿してもらった。(オルタナ編集部)

(画像提供:特定非営利活動法人エコロジカル・フットプリント・ジャパン)
■企業活動を自然循環で捉えるガイドを公開
「脱炭素、循環経済、ネイチャーポジティブ。大切なのは分かるけれど、何から始めればよいのだろう」企業の環境・サステナビリティ担当者の中には、そう感じている方も多いのではないでしょうか。
特定非営利活動法人エコロジカル・フットプリント・ジャパンは2026年5月、『エコロジカル・フットプリント算定ガイドブック(企業編)』を公開しました。本ガイドブックは、エコロジカル・フットプリント(エコフット)の基本的な考え方から、算定の準備、データ整理、算定方法、結果の活用までをまとめた入門資料です。
エコフットは、人間の活動が自然の再生能力に対して、どれだけの需要を生み出しているかを捉える指標です。2023年に閣議決定された「生物多様性国家戦略2023―2030」でも、進捗を把握する指標の1つとして活用されています。

(画像提供:特定非営利活動法人エコロジカル・フットプリント・ジャパン)
その流れの中で、近年は国や地域だけでなく、企業活動や産業、サプライチェーンを対象としたエコフット分析も広がっています。例えば、富士通グループやアルプスアルパイン株式会社などでも活用事例が生まれています。
一方で、エコフットは大企業だけのものではありません。中小企業や個人事業主は、現場との距離が近い分、気づきを改善へ素早くつなげられる強みがあります。
企業の規模にかかわらず、自社と自然との関係を考え、取り組みを始めるための手引きとして、今回のガイドブックを作成しました。
■増え続ける環境指標を、どうつなぐか
企業が向き合う環境課題は、この数年で大きく広がりました。脱炭素、循環経済、ネイチャーポジティブといった経営課題に加え、ESGという経営・投資の視点、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)などの開示枠組み、SDGsという社会目標、生物多様性に関する指標など、実務で参照すべきものも増えています。
それぞれは重要です。一方で、取り組みが増えるほど、「自社は何から始めればよいのか」「それぞれは、どのようにつながっているのか」が見えにくくなることがあります。取り組みが部署やテーマごとに分かれ、指標への対応そのものが目的になることもあります。
個別の数値や目標はそろっているのに、企業全体としてどこへ向かうのかが見えない。
そのときに必要なのが、企業活動を「自然循環の中」で捉え直すという考え方です。これは、本ガイドブックで最も重視している視点でもあります。
■自然循環から見えてくる3つのこと
企業活動を自然循環の中に置き直すと、3つのことが見えてきます。
1. 「つなぐ」
脱炭素、資源循環、生物多様性などを「自然循環」という共通の視点で捉えることで、個別の取り組みを1つの物語として整理できます。各部署の役割も見えやすくなり、サプライヤーや地域との協働にもつながります。
2. 「見つける」
事業がどの地域の水や森林、農地、生態系サービスに支えられ、どこに負荷を与えているのかを把握することで、自社の強みと課題が明確になります。自然や地域への貢献も整理され、社外に伝えやすくなります。
3. 「動かす」
企業と自然との関係や改善への道筋を示すことで、ESGの視点やTNFDの開示、SDGsの目標にもつなげやすくなります。社内の意思決定や、投資家、金融機関、取引先との対話に活用し、人や資金を呼び込む可能性が広がります。

(画像提供:特定非営利活動法人エコロジカル・フットプリント・ジャパン)
エコフットは、企業活動と自然とのつながりを見える化し、個別の取り組みを1つの物語として結ぶためのツールです。「環境課題が増えすぎて、全体像が見えにくい」と感じている企業の環境・サステナビリティ担当者にこそ、本ガイドブックを手に取っていただければと思います。
参考リンク
「日本におけるエコフット分析の歩み」
https://ecofoot.jp/japan-case-study-2026/


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