記事のポイント
- 国際刑事裁判所(ICC)の赤根智子所長が米トランプ政権の制裁対象となった
- これを受け高市首相は8月19日、「大変残念」とコメントした
- 国際人権団体は「日本政府は強く非難すべき」と政府の弱腰を非難した
米トランプ政権は8月18日、国際刑事裁判所(ICC)の赤根智子所長を含む2人を、制裁対象に指定した。これを受け高市早苗首相が出したコメントは「大変残念」と控えめだ。国際人権NGOのヒューマン・ライツ・ウォッチなどは、「日本政府は強く非難すべき」と政府の弱腰を非難した。(オルタナ輪番編集長=北村佳代子)

米政権は8月18日、ICCの赤根智子所長と、セネガル出身の上級法廷弁護士アブドゥライ・セエ氏に制裁を課すと発表した。
今回の制裁は、2025年2月6日にドナルド・トランプ米大統領が署名した大統領令「14203号」に基づくものだ。
大統領令の署名と同時に、最初にICCの元検事総長のカリム・カーン氏が制裁対象に指定され、その後、2025年6月には4人の裁判官、2025年8月には2人の裁判官と2人の副検事、そして2025年12月には2人の裁判官が追加で制裁対象に指定された。
ICCの18人の裁判官のうち、今回、赤根所長を含めて半数が米国の制裁対象となった。なお、今回赤根所長と同じタイミングで制裁を課されたセエ氏は、2026年12月のICC裁判官選挙の次期候補者としてセネガルから正式に指名されている人物だ。
ICCの司法の独立性を妨害するための先制攻撃と理解することもできる。
ヒューマン・ライツ・ウォッチの土井香苗・日本代表は、「米国政府による国際刑事裁判所(ICC)の赤根智子所長を含むさらに2名のICC関係者への制裁決定は、世界中の被害者をないがしろにするものであり、深刻な犯罪に関与したとされる米国およびイスラエル政府関係者に対する司法の裁きを阻もうとする露骨な試みでもある」と声明を出した。
「日本政府は、ICCに対する長年の支持に基づき、トランプ政権によるICCへの攻撃を強く非難し、他のICC加盟国と共に同裁判所の極めて重要な国際的使命を守るべきだ」(同)
また国際人権NGOのヒューマン・ライツ・ナウは、「米国がICC職員に課したこれらの制裁および過去の制裁を強く非難し、ICC加盟国に対し、国内および地域的な阻止法制の採択など、裁判所を保護するための効果的かつ協調的な行動を、極めて緊急に取るよう求めます」と声明を出した。
なお、ヒューマン・ライツ・ウォッチは8月11日、米有力人権団体3団体(アメリカ・フレンズ奉仕団、憲法上の権利センター、オープン・ソサエティ・インスティテュート)とともに、トランプ政権によるICC検察官と裁判官、国連の人権専門家、そして三つのパレスチナ人権団体に対する制裁の無効化などを求め、訴訟を起こしている。



