そうした出会いを通じ、翌2012年6月に中学校から講演依頼を受けた。ひきこもりやいじめられた経験を話すと、「僕を見て何かを感じてくれる子をプラスにできる。人生に物足りなさを感じている人に一歩踏み出す勇気を与えたい」と思えた。
そして、「和歌山活性化プロジェクトWAKA!!」を自ら立ち上げ、同年8月には生徒・学生・若者と市民でつくるまちづくり拠点「みんなの学校」で高校生によるイベントを企画・開催。他校の軽音楽部を招いて演奏してもらったり、地元の良いところを議論する機会を作ったりした。このイベントは3回まで開催された。
「日本の凄い人は都心部に固まっている。もっと地方から日本を変えていくようなイベントがあってもいい。まずは和歌山で行って全国各地の地方で行いたい。和歌山という田舎から日本を変えたい」(小幡さん)
2013年2月1日、小幡さんは合同会社「和-なごみ」を設立し、社長になった。
「高校生でもビジネスができることを証明したかったし、カフェをやる時に高校生の身分より法人の方がベターと考えた」(小幡さん)
カフェ「ESPOIR」では、アルバイト禁止の高校に通う生徒でもスタッフになれるように全員無給とし、浮いた利益は地域への寄付に回す方針をとっている。
「このカフェはお金儲けが目的ではない。同世代の高校生が集まってイベントなど何かができることを面白がれる場所にしたい。だから、仕入れ代が賄えればトントンでいい。月2回ペースで開催し、シャッター商店街に人が来るきっかけにしたい。和歌山はライブハウスやダンススタジオなど文化の受け皿が少ない。だから、大阪に行ってしまう子もいる。和歌山でのライブ情報を紹介したり、頑張っているアーチストを応援したりしたい」(小幡さん)
今後は、高校生による雑誌制作や新しいカフェなどをビジネスにしていくそうだ。高校生によって町おこしのハードルを下げる挑戦が始まっている。(今一生)