「救命艇状況」に向かう世界(田坂広志)

■雑誌オルタナ86号:オルタナティブの風(40)

世界は混沌とした状況を呈しているが、人類の未来を考えるとき、思い起こすべき二つの論文がある。

一つは、「ローマクラブ」が行った研究、『成長の限界』(1972年)である。これは、このまま世界全体の経済成長が続けば、⑴人口増加、⑵食糧不足、⑶エネルギー危機、⑷資源枯渇、⑸環境問題の五つの制約により、人類の経済成長は百年以内に限界に達するとの警鐘を発した論文である。

もう一つは、カリフォルニア大学のギャレット・ハーディン教授が発表した論文「救命艇の倫理」(1974年)である。これは、人類の状況を「船の遭難」に譬え、救命艇の人数に限界があるとき、すでに乗っている人々(経済先進国)を守るためには、救助を求める人々(発展途上国)を見捨てることもやむを得ないと主張した論文であり、当時、世界中で激しい批判や倫理的議論を巻き起こしたものである。

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21世紀アカデメイア学長、多摩大学大学院名誉教授、田坂塾塾長。81年、東京大学大学院修了。工学博士。87年、米国パテル記念研究所研究員。90年、日本総合研究所の設立に参画。取締役を務める。00年、多摩大学大学院教授に就任。同年シンクタンク・ソフィアバンクを設立。08年、世界経済フォーラム(ダボス会議)のGlobal Agenda Councilメンバーに就任。11年東日本大震災に伴い内閣官房参与を務める。全国から1万名を超える経営者やリーダーが集まり「7つの叡智」を学ぶ場、「田坂塾」を開塾。著書は国内外で150冊余。

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キーワード: #オルタナ86号

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