小泉今日子さんが語る森づくりと未来「気持ちよくバトンを渡せる人生に」

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■新連載「サステナトーク」(1)

記事のポイント


  1. 年内活動休養中の小泉今日子さんは社会問題を積極的に発言する
  2. 「次の世代に気持ちよくバトンを渡せるように生きたい」と話す
  3. 政治やエネルギー、サステナビリティについて小泉さんの考えとは

芸能人や芸術家、アスリートなど有名人の皆さんにサステナビリティについての考えを聞く「サステナトーク」の連載、第一弾は小泉今日子さん。政治やエネルギー、サステナについて聞いた。小泉さんは「次の世代に気持ちよくバトンを渡せるように生きたい」と力を込める。(聞き手・オルタナ輪番編集長=池田真隆、写真=廣瀬真也)

小泉さんは、2015年に株式会社明後日を設立し、芸能活動に加えて猫の保護支援にも取り組んできた

――小泉さんは「社会問題は次の世代の話でもある」と考えています。

私は昭和40年代に生まれて、日本がどんどん豊かな国になっていく過程を見て育ちました。家の前の道が舗装されるといった変化から、豊かになっていくことを実感してきた世代です。

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だから、「豊かになることはいいこと」という価値観が自然に刷り込まれていました。誰かに任せておけば、この先も世の中は安泰だと思っていました。私も含めて、政治に強い関心を持たない人が多かった世代だと思います。

でも、そんな私たちが今の世の中をつくってしまったのかもしれないという反省を、すごく感じています。それに気付いてしまった以上、残りの人生で次の世代のためにできることをできるだけ多くやって、本当に気持ちよくバトンを渡せるような人生にしたいと思うようになりました。

――そう考えるようになったきっかけは何ですか。

政治の腐敗ですね。簡単に言うと、それしかないです。30年間、徐々に徐々に悪くなっていったと思いますが、今がもう本当にその絶頂だと思っています。

だから、一つひとつの問題点を口にする気もなくなってきたというのが本当のところです。

――エネルギー問題についてはどう考えていますか。

少しずつでも化石燃料への依存を減らしていければいいなと思っています。たぶんできるはずなのに、実行しようとしていません。

例えば、石油に頼らず、環境にも配慮して、魚のエサになるような形で製品をつくっている石けんメーカーがあります。

一人ひとりが気付いて、そのような製品を買うようにする。そのことが応援になる。もっと多くの人が気付いて、自然とそういう方向に戻っていけばいいなと思います。

若い頃は全く気にしなかったのですが、今は何かを買うとき、その会社の理念や姿勢が気になるようになりました。

化石燃料に依存する日本のエネルギー構造について、再エネへの切り替えを訴える

■ファンに森づくりへの参加を呼びかけ

――2026年1月から5月に実施した全国ツアーでは、ファンに森づくり活動への参加を呼びかけました。

ツアーをやると、たくさんの人が動いて、いろいろなものを使いますよね。その中で、せっかくみんなが集まってくれるなら、その力を何か未来につながることに使えないかなと思いました。

そこで、ツアーのお祝いのお花や贈り物を辞退して、そのお気持ちを森づくりにつなげてもらう「明日の森プロジェクト」を始めました。

ファンの皆さんからいただいた寄付を、どんぐりの森づくりにつなげています。どんぐりの木って、植えたらすぐに森になるわけではないですよね。時間をかけて育っていくものです。だからこそ、今の自分にはすごくいいなと思いました。

2026年7月16日時点で2490人から寄付が集まり、どんぐりの苗木に換算すると2094本分の植林ができる規模になりました。目標はどんぐりの苗木3000本です。

――森づくりに関心を持ったきっかけは何ですか。

自分たちが生きている間だけのことではなくて、その先のことを考えたいと思ったからです。今、自分が植えた木が大きくなって、森になって、そこに生き物が戻ってくる。その時には、私はもういないかもしれない。でも、それでもいいと思いました。

自分が何かをした結果を、自分が受け取らなくてもいい。次の世代の誰かが受け取ってくれればいい。それって、私がずっと考えてきた「バトンを渡す」ということにもつながると思っています。

■若者の抗議活動が独立のきっかけに

――アーティストや俳優が社会課題に向き合うことについてどう考えていますか。

音楽やエンターテインメントには、人の気持ちを動かす力があります。だから、その力を自分のためだけに使うのではなく、何かにつなげられたらいいなと思っています。

2015年ごろに見た若者たちの活動に心を動かされました。その当時、国会で審議されていた法案に対する抗議活動です。この法案は、集団的自衛権の行使を可能にするもので、日本が戦争や武力衝突に巻き込まれる懸念があるとして、若者たちは法案の成立阻止と撤回を求めて国会議事堂前で抗議を行っていました。SEALDs(シールズ)という団体名でした。

抗議活動をしていた若者たちにお会いしたことはありませんでしたが、その活動に 、私はSNSで「いいね」を押していました。そうしたら家の前に記者が来て、「なぜ、いいねを押していたのですか」と聞かれました。いいねを押しただけで取材されることに、恐怖を覚えましたね。

――若者たちの活動を見て、どのようなことを感じましたか。

シールズの活動に参加することはありませんでしたが、SNSで見ていると胸がギュッとなりました。「私たちのせいなのに、若い子がこれを背負ってしまった」と苦しくもなりました。

SNSのタイムラインに流れてくる投稿を見ながら、「私たちが怠ったことを、この人たちが背負ってしまった」と思いました。「頑張れ、ごめんね」と思って見ていたことが、独立を決意した大きなきっかけだったかもしれません。自分の人生を振り返れと言われたような気もしました。

誰にも迷惑をかけてはいけないと思い、広告の契約も一つずつ更新しないで減らしていき、事務所を辞めました。独立したら、自分で責任を取れる。そう思ってから社会問題について発言するようになりました。

■「大人になるのが怖くないと思ってもらえるような生き方を」

全力で活動し、「バトンを受け取ってくれる人を育てたい」と話した

――次の世代に伝えたいことはありますか。

伝えたいというより、本当に今、私たちができることを全力でやって、それをつなぎたい。そして、そのバトンを受け取ってくれる人たちを育てたいという気持ちです。

「この人を見ていると、大人になるのが怖くない」と思ってもらえるような生き方をしたい。

今、ツアーには、若いファンの方がすごく増えています。「不安がいっぱいあるけれど、小泉さんを見ていると、なんだか大丈夫な気がする」と言ってくださる方もいる。私をきっかけに、いろんなことを考えるようになったという方も多いので、ちゃんとしていないといけないなと思っています。

――サステナビリティについては、どのように考えていますか。

自分が死んだ後に、できるだけ迷惑をかけたくないという気持ちが、すごくサステナブルにつながると思います。

例えば、お皿を一つ買うのも考えるようになりました。陶器のお皿だったら、処分するのが大変だろうな。だったら木のお皿や木の食器を買おう、と。

一つひとつ物を買うときに、「これは使い終わった後、どうなるのか」と考えるようになりました。使い終わった後に自然に還るようなもの、そういうものを、できるだけ選びたいと思って生きています。


◆小泉今日子さんが立ち上げた「明日の森プロジェクト」とは

小泉今日子さん、特定非営利活動法人エコラ倶楽部の大井明弘代表、UPDATER(アップデーター、東京・世田谷)の大石英司社長が出演する鼎談動画をYouTubeで公開しています。

動画では、「明日の森プロジェクト」を始めた背景や森の現状、50年後の森づくりに向けたそれぞれの思いについて語っています。

▼アスモリ×KK60アンコールプロジェクト『アスモリ鼎談』①

▼アスモリ×KK60アンコールプロジェクト『アスモリ鼎談』②

▼アスモリ×KK60アンコールプロジェクト『アスモリ鼎談』③

M.Ikeda

池田 真隆 (オルタナ輪番編集長)

株式会社オルタナ取締役、オルタナ輪番編集長 1989年東京都生まれ。立教大学文学部卒業。 環境省「中小企業の環境経営のあり方検討会」委員、農林水産省「2027年国際園芸博覧会政府出展検討会」委員、「エコアクション21」オブザイヤー審査員、社会福祉HERO’S TOKYO 最終審査員、Jリーグ「シャレン!」審査委員など。

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キーワード: #サステナビリティ

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