CO2削減、これからは「2℃目標」は通用しなくなる

そのきっかけは2018年12月、ポーランド・カトヴィツェでの「COP24」 で公表された特別報告書です。そこでは「気候関連リスクを低減する適応のオプションが幅広く存在すること、気温上昇を2.0°Cではなく1.5°Cに抑えることでほとんどの適応ニーズが少なくなる」と指摘しています。オルタナオンラインでも「地球気温上昇、2度と1.5度では大違い:NGO警鐘」という記事を掲載しました。

企業による温室効果ガスの排出削減目標を承認するSBT(サイエンス・ベースト・ターゲット)というグローバル機関があります。2019年世界で754社、日本でも83社が承認を受けていますが、そのほとんどは「2℃目標」です。日本で「1.5℃目標」の承認を受けたのは小野薬品工業、丸井、アスクルの3社だけです。

このうち小野薬品は2019年5月、SBTに申請しました。その後、SBT事務局から「年間の削減目標をもう少し上乗せすれば、1.5℃目標になりますよ」との示唆を受け、1.5℃目標で出し直したそうです。

小野薬品の温室効果ガス削減目標は2017年比で「2030年に55%減」「2050年にはゼロ」です。筆者は昨年9月、「カーボン実質ゼロ目標でないと世界に通用しない」というコラムを書きました。世界の最新潮流は「1.5℃目標」「将来的にカーボンゼロ」です。こうした野心的な目標設定は、経営陣のサポートなしにはありえません。

この点は、今回のトレンド1「サステナビリティ領域における経営陣の責任がさらに増す」に通じます。CSR/サステナビリティ担当者がいくら頑張っても、経営陣の意志がないと、力強いベクトルを生み出すことは難しいのです。多くの企業を取材して、改めてそう確信しました。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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