原田勝広の視点焦点:「顔の見える電力」人気のなぜ?

また、新宿マルイ本館は青森県下北半島の風力発電を中心に電力を調達しています。ブロックチェーンで紐づけしているためトレーサビリティがあり、どこの発電所の電力を使っているかが30分ごとにわかる仕組みになっています。

丸井はESG(環境・社会・ガバナンス)やSDGs(持続可能な開発目標)の観点から、こうした戦略を打ち出しています。

人と人のつながりは今時代が求めているものです。農作物の産直しかり、ふるさと納税しかりです。みんな電力はそこにフィットしています。

つまり、「顔が見える」だけでなく「顔と顔をつなげる」電力です。

そのための仕掛けには事欠きません。頻繁に企画されるツアーではバスで発電所を訪問、電力がどのように作られるのか、課題は何かを見ることができます。地産地消のレストランで食事をします。

横浜市と下北半島の横浜町がつながる「横浜つながり」では、横浜市名物の崎陽軒のシュウマイ弁当に下北の食材を検討中といった具合です。

いま固定価格買い取り制度の適用から外れる家庭が出始めています。買取期間が順次満了を迎えるためで、2019年中に買い取りが終わった家庭は53万軒ともいわれます。

ここまで広がった再生エネの普及を失速させないことが大事ですが、大石社長は、自由に売れるようになると考えればいいと楽観的です。

世界的にも電力の主役は大手の電力会社から個人や新興の企業に移りつつあります。それは時代の要請であり、ひとりひとりの地球にかける思いを発電技術やITの発展が支えているからにほかなりません。みんな電力は時代の子です。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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