世界最大の養殖場で苦しむサーモン、NGOが映像公開

英国の動物福祉団体はこのほど、スコットランドにあるサーモンの養殖場の映像を公開した。同国は養殖サーモンの生産国としては世界で3番手に位置し、日本を含む50カ国以上に輸出している。映像では、窮屈な水中檻の中で最大2年間、あてもなく泳ぐ姿が収められている。深刻な魚ジラミが蔓延しており、不衛生な環境から4分の1が屠殺される前に死んでいることが明らかになった。(オルタナS編集長=池田 真隆)

動物福祉団体が公開した衝撃の映像

この映像は、政府や投資家と協業してアニマルウェルフェアを促進してきた英国の動物福祉団体 Compassion in World Farming International (CIWF)が中心となって製作した。スコットランドにある20以上の養殖場を、ドローンなどを使い、撮影したものだ。

CIWFの調査を率いたソフィー・プトリル 世界キャンペーンマネージャーは、「この映像には、先天異常や病気、目や肉体の一部がなくなっているもの、皮膚を魚ジラミに食べられているサーモンが収められています。これはとても容認できるものではありません」と厳しく批判した。

サーモン養殖はアニマルウェルフェアを損なうだけでなく、環境にも悪影響を及ぼすことが分かっている。スコットランドのサーモン養殖場から流れる有機廃棄物と化学廃棄物は、堆積物の化学的性質を変化させ、海底の海洋生物の生命にも影響を及ぼしている。

サーモンを残虐に扱う養殖場だが、スコットランド政府は2030年までに大規模な産業拡大を許可している。こうした事態を受けて、世界のNGOが結束して、産業の拡大の一時停止を求めてオンライン署名を集めている。宛先は、スコットランドの二コラ・スタージョン首相だ。日本では、認定NPO法人アニマルライツセンターがオンライン署名のキャンペーンを担当している。

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M.Ikeda

池田 真隆 (オルタナS編集長)

株式会社オルタナ取締役、オルタナS編集長 1989年東京都生まれ。立教大学文学部卒業。 環境省「中小企業の環境経営のあり方検討会」委員、農林水産省「2027年国際園芸博覧会政府出展検討会」委員、「エコアクション21」オブザイヤー審査員、社会福祉HERO’S TOKYO 最終審査員、Jリーグ「シャレン!」審査委員など。

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