海洋汚染はプラスチック問題の一部にすぎない

■暮らしから考えるサステナビリティ(2)

鼻にストローが刺さったウミガメや胃から大量のプラスチックが見つかったウミドリなどの画像が拡散され、広く認識されることとなった廃プラスチックによる海洋汚染。生物多様性や愛護の視点から、世界中で廃プラスチック回収やビーチクリーン、リサイクル推進など解決に向けたアクションが展開されている。しかし、海洋汚染はプラスチック問題の表層であり、石油化学業界の目論見や、使い捨て消費材への依存と無関心、健康被害など根本にある事象を知らなければ真の解決策には至らない。(照井敬子)

イラスト提供:The Story of Stuff Project

■エネルギーからプラスチックへの転換を図る石油業界

ドキュメンタリー映画「THE STORY OF PLASTIC」(2019年・米)は、「採取」「輸送」「製油」「製造」「流通」「消費」「廃棄」という一連の工程の中で、廃棄に注目が集まりがちなプラスチック問題に一石を投じた。この作品が明らかにした本質的な課題をいくつか紹介したい。

石油化学企業は、交通インフラやエネルギー産業での使用が減り続ける石油・ガスの新たな市場として、安価なプラスチック(特に使い捨ての日用消費財)の製造へ大きく舵を切った。プラスチック原料の約99%を化石燃料が占めており、これまで生産されたプラスチックの半分以上が過去15年間で製造されており、特に増加しているのが、「シングルユース」と称される使い捨てプラスチックを容器・包装に用いた日用品である。

■新たな「市場」として翻弄される新興国 

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照井 敬子

薬樹株式会社SDGs推進担当マネジャー・NPO法人Liko-net代表理事 医療という人の命に関わる仕事だからこそ、持続可能な仕組みを大切にしたいとの考えのもとSDGs推進を担う。また、NPO法人としてサステナブルをテーマに生活者に向けた啓発イベントを行う。

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キーワード: #サステナビリティ

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