記事のポイント
- 村田製作所は、知的財産経営を実践している
- 研究開発投資と知財投資の効率性を追求している
- 事業の競争優位性の維持・強化に資する知財の創出が経営の基本である
村田製作所は、2030年に向けた「強化・変革の方向性」の一つとして、「ポートフォリオ経営と、研究開発および知財ポートフォリオ形成の連携強化による、研究開発投資と知財投資の効率性追求」を掲げています。2030年の「デジタルツイン」社会に向けて、経営および事業に貢献する知的財産権の取得および知的財産ポートフォリオの最適化を進めています。(オルタナ総研フェロー=室井孝之)

村田製作所はAI、通信、モビリティ、環境、医療など、くらしや社会を支える総合電子部品メーカーです。
同社は世界の企業の知的財産を評価する英国クラリベイト社選定の「Clarivate Top 100 グローバル・イノベーター」に5年連続で選定されています。
変化の激しいエレクトロニクス業界において、競争力の源泉となる知的財産の戦略的な取得・活用は重要性を増しています。
統合報告書である「Murata value report 2025」 では「2030年の世界観とムラタのありたい姿」について、AI技術の発展・浸透により、2030年までの社会はデジタルツインの実現に向けて大きな変革期を迎えます。 その社会においてムラタがGlobal No.1部品メーカーとなるための取り組みを加速させることで、 2030年に向けて飛躍的な成長を実現していきます」と述べています。
「デジタルツイン」とは、フィジカル空間のさまざまなデータを、無線通信を介してリアルタイムに収集・伝達し、サイバー空間(仮想空間)にフィジカル空間(現実空間)を「双子」のように高精度に再現したものです。
村田製作所は、2030年に向けた「強化・変革の方向性」の一つとして、「ポートフォリオ経営と、研究開発および知財ポートフォリオ形成の連携強化による、研究開発投資と知財投資の効率性追求」を掲げています。
これは、知財活動による事業競争優位性の確保を目指し、イノベーションを創出し、技術を蓄積するとともに事業の競争優位性の維持・強化に資する知財の創出を目指すことを意味します。
同社の保有知財件数は2024年度時点で国内外含めて約3万件となっており、技術の特長や市場および同業の動向を考慮して、戦略的な出願を行っています。
例えば、伝送線路、アンテナ、基板、モジュールの部品となる優れた高周波特性を持つ「樹脂多層基板」(メトロサーク™)は、積層セラミックコンデンサなどで培った同社のコア技術である多層積層技術と、過去の買収により獲得した高機能樹脂材料の2つの基幹技術から生まれた画期的なイノベーションです。
同社統合報告書は、超音波の測定制限を解消する「超音波透過メタマテリアル」(下図参照)を開発し、次世代通信(6G)や光半導体分野での技術探索を強化し、未来の電子機器の基盤技術を創出しています」と記されています。

様々なイノベーションを生み出している同社ですが、次回の統合報告書では、「デジタルツイン」に関する新たなイノベーションの実績を開示されたらいかがでしょうか。


.jpg)
