記事のポイント
- 気候変動イニシアティブ(JCI)が「気候変動アクション日本サミット2026」を開いた
- 国連高官は、化石燃料依存を日本の「構造的な脆弱性」だと指摘した
- JCIの末吉共同代表は、日本の脱炭素と経済成長の両立遅れに警鐘を鳴らした
企業、自治体、団体、NGOなど870超の組織でつくる気候変動イニシアティブ(JCI)は10月2日、「気候変動アクション日本サミット2026」を東京都内で開いた。国内外の専門家や企業、自治体の関係者らが、気候危機やエネルギー安全保障、自然資本、企業経営を一体的に議論した。国連高官やJCI幹部らからは、化石燃料依存が日本の脆弱(ぜいじゃく)性になっているとの指摘や、脱炭素と経済成長の両立の遅れに対する厳しい意見が相次いだ。(オルタナ副編集長=京正裕之)

■加藤JCI共同代表「質、スピード、スケールを上げる」
開会あいさつで、JCI共同代表の加藤茂夫氏は、2026年に国内で相次いだ豪雨災害に触れた。こうした災害は「ただの自然災害では片付けられない」とし、温室効果ガスを排出してきた我々は地球温暖化の「被害者」であると同時に「加害者」でもあると訴えた。
JCIには871団体が参加する。加藤氏は、気候変動アクションの「質、スピード、そしてスケール」を上げ、社会全体のうねりにしていく必要があると強調した。
また、中東情勢の緊迫化によって化石燃料の輸入依存がエネルギー安全保障上のリスクになっているとして、再生可能エネルギーへの転換によるエネルギー安全保障の強化、持続的な経済成長、脱炭素を同時に進めるよう呼びかけた。
■国連高官「気候危機と化石燃料危機に直面」
国連事務総長特別顧問(気候行動および公正な移行担当)兼事務次長補(気候行動チーム担当)のセルウィン・ハート氏はビデオメッセージで、世界が気候危機と化石燃料危機という二つの危機に直面していると指摘した。日本は石油やガスを輸入に大きく依存しており、「化石燃料依存は日本にとって構造的な脆弱性だ」と述べた。
日本政府に対して、石炭火力を段階的に廃止する明確な時間軸と、再エネを加速する道筋を示すよう求めた。足元の化石燃料危機への対応によって、化石燃料依存を長期化させてはならないと警告した。
■ロックストローム氏「まだ状況反転させる機会ある」
基調講演では、ポツダム気候影響研究所所長などを務めるヨハン・ロックストローム氏がビデオ登壇した。同氏は「プラネタリー・バウンダリー(地球の限界)」の研究を主導してきた科学者だ。
ロックストローム氏は、現状のままでは今世紀末までに気温上昇が約3℃に達するとし、地球システムの回復力が低下すれば、高温状態から戻りにくくなるリスクがあると警告した。
一方、急速に安全な領域へ戻る転換を進めれば、オーバーシュート(気温上昇幅が産業革命前から一時的に1.5℃を超えること)を最小化し、気温上昇を再び抑える可能性は残っているとした。
26年の「プラネタリー・ヘルス・チェック」では、地球環境の安定性を支える9つのプラネタリー・バウンダリーのうち7つが既に限界を超えたと説明した。それでも「状況を反転させる機会は、まだわずかに残されている」とし、脱炭素とともに生物多様性や自然の回復を進める必要性を訴えた。
■末吉JCI共同代表「日本はもっと世界に目を開いて」
JCI共同代表の末吉竹二郎氏は、サミットでの議論を受け、「日本はもっと世界に目を開いてほしい」と訴えた。世界の最新データや科学的知見を学び、多様なステークホルダーを巻き込みながら、スピード感を持って対策を実行する必要があるとした。
末吉氏は、日本経済のグリーン化の遅れにも危機感を示した。経済成長とCO2排出を切り離す「デカップリング」について、21世紀の国際競争力を左右する重要な条件だと指摘。欧州では経済成長と排出削減の両立が進む一方、日本ではその進展が十分ではないとして、「デカップリングの遅れは致命的なエラーになる」と警鐘を鳴らした。
また、第7次エネルギー基本計画が2040年度でも電源構成の3~4割程度を化石燃料に頼るとしていることにも疑問を呈した。
日本では気候、エネルギー、自然、金融など、進むべき方向を考えるための要素が「バラバラに議論されている」との懸念も示した。その上で、これらを総合的に議論する「気候政策の司令塔」があれば、日本も「世界のリーダーの一角を占める国になれるのではないか」と述べた。
(この続きは)
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