記事のポイント
- 内閣府はこのほど、「子育て女性のウェルビーイング白書2026」を発行した
- 子育て期に女性の4人に1人が「宅配便での短い会話に救われた」と回答した
- 女性に偏る「孤育て」の負担が明らかになった
内閣府はこのほど、「子育て女性のウェルビーイング白書2026」を発行した。全国の未就学児を育てる男女6334人を対象に実態調査を実施したところ、女性の約6割が子育て期に「孤独」を感じており、4人に1人が「宅配便での短い会話に救われた」と回答したことが分かった。女性に偏る「孤育て」の負担が明らかになった。(オルタナ輪番編集長=池田真隆)

内閣府は10月29日、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の一環として、「子育て女性のウェルビーイング白書2026」を発行した。調査は2026年9月4日から10日まで、全国の未就学児を持つ20~50代の男女を対象にインターネットで実施した。回答者は男性3104人、女性3230人の計6334人。
調査の結果、女性の56.7%が、子育て期に「孤独や社会からの隔絶を感じた」と回答した。このうち11.2%は「毎日感じた」と答えた。
孤独を感じる理由として最も多かったのは、「大人と話す機会がほとんどなくなった」で53.4%。次いで「赤ちゃんと一緒にいても会話や意思疎通ができず、孤独を感じた」が43.2%、「パートナーや家族など特定の大人としか話せなくなった」が40.4%だった。
子どもと一緒に過ごしていても、大人同士の会話や社会とのつながりが失われることで、孤独感が深まっていることが分かった。加えて、24.8%が「宅配便やスーパーの店員、美容師などとの短い会話がとてもうれしく感じた」と回答した。日常生活で交わす何気ない会話が、子育て中の女性にとって貴重な社会との接点になっている。

■育児や仕事の負担は女性に偏る
白書は、孤独感だけでなく、育児や仕事に伴う負担が女性に偏っている実態も示した。
「実際の子育ては母親中心になっている」と回答した女性は66.2%に上った。一方、「母親中心で子育てするのが望ましい」と考える女性は35.5%にとどまり、30.7ポイントの差が生じた。母親が担うことが当然視されている現実と、女性自身の意識との間に隔たりがあった。
育児に伴う負担は、目に見える作業だけではない。白書では、家事や育児に関する段取り、先回りした判断などの「見えない家事・育児」の負担時間も調べた。その結果、女性は月93時間20分、男性は月62時間48分となり、女性の負担が大きかった。
女性の80.8%が産後の睡眠不足や疲労の長期化を経験し、77.4%が子育てや生活上の事情で通院や治療を後回しにしたことがあると回答した。育児を優先するあまり、自分自身の健康を守る時間を確保できていない実態も浮かび上がった。
■「孤育て」から「共育て」へ
こうした状況を変えるには、母親個人の努力に頼るのではなく、家庭や職場、地域社会が一体となって子育てを支える仕組みが必要だ。
白書は、子育て支援制度の整備や男性の育児参画が進む一方で、育児負担は依然として女性に偏り、多くの女性が心身の不調を抱えながら自身の健康を後回しにしていると指摘した。
白書のプログラムディレクターを務めた筑波大学大学院の久野譜也教授は、「母親自身の健康や幸せを犠牲にすることで、子育てが成り立つ社会であってはならない」と訴えた。
久野教授は、女性個人の努力に頼らず、家庭・職場・地域社会が共に子育てを担う環境づくりの必要性を強調した。その上で、「子育て女性の健幸を、社会の健幸へ」と掲げ、「『孤育て』から『共育て』への転換を、私たち一人ひとりの行動から実現していきたい」と呼び掛けた。



