実際、ソニーの平井一夫社長兼CEOは取締役と執行役員を兼務するなど、多くの企業では代表取締役社長が執行役員を兼務しており、日本型経営におけるガバナンス体制の不備が指摘されている。
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リコーのガバナンス体制見直しの背景には、今年6月に施行された「コーポレートガバナンス・コードの存在がある。
同コード【原則4-6 経営の監督と執行】には下記の記述がある。
ーー上場会社は、取締役会による独立かつ客観的な経営の監督の実効性を確保すべく、業務の執行には携わらない、業務の執行と一定の距離を置く取締役の活用について検討すべきである。
コーポレートガバナンス・コードは、上場企業に対して「コードの原則を実施するか、実施しない場合にはその理由を説明
(コンプライorエクスプレイン)することを義務付けた。
リコーは今回、コーポレートガバナンス・コード報告書を出すにあたり、「コンプライ」を選択し、実行に移した。これこそが狭義のコンプライアンス(法令遵守)にとどまらない、広義のコンプライアンスであり、他の上場企業に大きな影響を与えよう。(オルタナ編集長 森 摂)