記事のポイント
- 国際NGOが、飢餓の深刻な8カ国の難民・国内避難民らの実態を公表した
- 食料不安により子どもの権利侵害リスクが高まる実態が明らかに
- 「世帯の自立」が子どもの権利を守るカギであることを示した
世界の子どもを支援する国際NGOワールド・ビジョンは6月15日、世界食糧計画(WFP)と共同で、難民や国内避難民、受け入れ地域の家庭を対象に8カ国で実施した調査報告書を公開した。調査では、食料不安の深刻化により、子どもの権利侵害リスクが高まっている実態が明らかになった。一方、世帯の自立度向上が子どもを守る重要な要素であることも示した。(オルタナ編集部・川原莉奈)

*「物乞い」は放送禁止用語ですが、現在の深刻な状況を伝えるためにも、国際NGOワールド・ビジョンが報告書で使った言葉をそのまま使いました。
報告書「飢餓の影に(原題:IN THE SHADOW OF HUNGER)」は、6月20日の世界難民の日を前に公開となった。調査対象は、飢餓の深刻なバングラデシュ、ブルンジ、チャド、コロンビア、コンゴ民主共和国(DRC)、ミャンマー、南スーダン、ウガンダの8カ国の3494世帯だ。
世界的な状況を見ると、2025年後半の人道支援資金はそれ以前の年と比べて40%減少しており、人道支援ニーズの72%以上が満たされていない。
こうした支援縮小に伴い各地で食料不安が深刻化しており、WFPのデータによると、世界68カ国で約3億1800万人が急性食料不安に直面している。
この影響は、より脆弱な立場にある子どもたちの権利侵害という形で顕在化している。
今回の調査では、対象世帯の56%が食料不安を経験したと回答したほか、22%で児童労働、8%で児童婚が報告された。食料不足や生計の悪化が、子どもの危機に直結している実態が浮き彫りとなった形だ。

一方で、同報告書はその解決の手がかりについても分析している。
報告書では、「自立」を、食料や水、住居、身の安全、教育などの基本的なニーズを、尊厳と安定、そして将来への希望を持ちながら満たせる状態と位置付けた。
そのうえで、ほぼすべての調査対象国において、世帯の自立度が高いほど子どもが直面するリスクが低下することを示している。
具体的には、自立度が高まることで、物乞いは56%、就労のための中退は38%、児童婚は33%、家族離散は31%それぞれ減少するという定量的な結果が出ている。
こうした自立の実現に向けて、調査対象世帯からは、「働く権利」や「移動の自由」、「収入を得る機会へのアクセス」、「スキル開発」が必要不可欠であるとの声が上がった。
ワールド・ビジョンは、緊急的な食料支援に加え、難民や避難民が働き収入を得られる環境づくりなど、自立を支える長期的な支援の必要性を訴えている。


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