アジア上場企業で子どもを「ステークホルダー」としたのは5%だけ

記事のポイント


  1. ユニセフがアジア9カ国で、上場企業の子どもの権利への対応状況を調査した
  2. 子どもをステークホルダーと明確に位置付けた企業はわずか5%だった
  3. 気候変動対応においても子どもへの影響を明確化した企業は2%にとどまった

ユニセフ(国連児童基金)は7月8日、アジアの新興9カ国の上場企業による子どもの権利に関する開示状況を調査したリポートを公表した。その結果、上場企業1399社のうち、74%が人権方針を公表していた一方、子どもをステークホルダーとして明確に位置付けた企業は5%にとどまった。ユニセフは企業の人権方針と子どもの権利保護の実践に大きなギャップがあると指摘している。(オルタナ副編集長・京正裕之)

ユニセフの調査には9カ国1399社の上場企業が対象になった

「Making Children Count(仮訳:子どもを可視化する)」と題したリポートでは、バングラデシュ、インド、インドネシア、マレーシア、ネパール、パキスタン、スリランカ、タイ、ベトナムの9カ国の上場企業1399社を対象に調査を実施。セクター別では製造業が264社、一般消費財が241社、素材が224社など。

ガバナンスやサプライチェーン、マーケティング、環境など10項目26指標を基に、企業の開示情報を評価した。それによると、子どもをステークホルダーとして明確に位置付けていた企業は20社に1社、マテリアリティ評価に子どもの権利を組み込んだ企業はわずか1%だった。

ユニセフは10項目26指標で子どもの権利に関する企業の対応状況を調査した

児童労働については、7割の企業が児童労働の根絶を掲げていた一方で、救済手段(リメディエーション)に言及した企業の割合は2%、サプライチェーンにおける子どもの権利保護を支援する取り組みを開示した企業は3%にとどまった。

子どものオンライン保護について具体的で実効性のある取り組みを開示した企業は10%、子ども向けマーケティングに関する方針を明確に示した企業は3%だった。

ユニセフは、企業の情報開示では、子どもの保護は一般的なプライバシー保護や人権、利用規約の中で触れられるにとどまり、有害コンテンツ対策やネットいじめ対策、子どもを手なずける「グルーミング」や性的搾取の防止、子どものメンタルヘルスに影響するアルゴリズム設計への配慮といった具体的な安全対策までは示されていないと指摘している。

■子ども視点の気候変動対策も不十分

環境分野でも子どもの視点は十分に反映されていなかった。気候変動戦略の中で、子どもへの影響を明確に位置付けた企業は2%にとどまった。一方、42%は気候変動戦略には触れていたものの、子どもへの影響には踏み込んでいなかった。56%は気候変動戦略の中で、子どもの視点に全く触れていなかった。

ユニセフは、気候変動やデジタル空間でのリスク、栄養問題など子どもを取り巻く課題が深刻化する一方、アジア新興国の上場企業のESG情報開示では子どもの視点が十分に反映されていないと指摘しました。企業は子どもを独立したステークホルダーとして位置付け、ESG情報開示や人権デューデリジェンスに組み込む必要があるとしている。

hkyosho@alterna.co.jp

京正裕之 (オルタナ副編集長)

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