記事のポイント
- コーポレートガバナンス・コードで企業に求める内容が大きく変わった
- 原則数が83から30に減ったが、経営者の説明能力がより問われるようになった
- 松田千恵子氏は「経営者の説明能力が企業価値を左右する」と指摘した
コーポレートガバナンス・コード(CGコード)が大きく変わった。83あった原則数が30に減ったが、経営者には説明能力がより求められるようになった。ガバナンスに詳しい、松田千恵子・東京都立大学大学院教授は、「経営者の説明能力が企業価値を左右する」と指摘した。(聞き手=オルタナ輪番編集長・池田真隆、副編集長=京正裕之)

東京都立大学大学院経営学研究科教授。東京外国語大学外国語学部卒業。仏国立ポンゼ・ショセ国際経営大学院経営学修士。筑波大学大学院企業科学専攻博士課程修了。博士(経営学)。株式会社日本長期信用銀行にて国際審査、海外営業等を担当後、ムーディーズジャパン株式会社格付けアナリストを経て、株式会社コーポレイトディレクション、ブーズ・アンド・カンパニー株式会社にてパートナーを務める。2011年より現職。金融庁「コーポレートガバナンス・コードの改訂に関する有識者会議」メンバーなど、政府委員および事業会社の独立社外取締役などを務める。
――金融庁と東京証券取引所は7月21日、改訂版のCGコードを公表しました。今回の改訂で、経営者の「説明能力」がより重要になったと指摘されています。そもそも日本企業の経営者の説明能力が上がらなかったのはなぜだと考えますか。
これまでは説明する必要がなかったからです。昔は「言わなくても分かる」という身内文化が非常に強く、身内の人たちが納得していればよかったという時代が長かったのです。
一方、1990年代後半からこの流れが変わり始めました。背景には、企業の主要取引銀行が経営を監視するメインバンクガバナンスから株主が監視するエクイティガバナンスへの移行があります。
90年代後半に起きた金融危機で銀行が相次いで破綻し、日本のメインバンクガバナンスが終わりました。ちょうど同じ時期に株式市場の規制緩和も進み、M&Aなども急速に増えました。そこが大きな分水嶺です。
今は外国人株主が増えたこともありますが、それだけではありません。日本企業の中でも、中途採用が増え、新卒から定年まで同じ会社にいる人ばかりではなくなりました。M&Aで買収した会社がグループに入れば、その会社のステークホルダーにも説明が必要です。「身内だから分かる」という前提そのものが崩れています。
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