生物多様性COP17、企業向けルールが相次ぐ

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記事のポイント


  1. 生物多様性COP17が10月19日、アルメニア・エレバンで始まった
  2. 前半の1週間で、さまざまな団体が企業向け新ルールの提案を発表した
  3. 将来的にデファクトスタンダードになりうるものとして注目したい

生物多様性条約の第17回締約国会議(COP17)が10月19日から始まった。前半の1週間を終え、TNFDやISSBなど、さまざまな団体が企業向けの新ルールの提案を発表した。将来的にデファクトスタンダードになりうるものとして、企業は注目したい。(サステナブル経営アドバイザー・足立直樹)

アルメニアで開催された生物多様性COP17の会場
(写真撮影)足立直樹

(*この記事は、2026年10月26日(現地時間)時点の情報に基づいています。)

現在、アルメニアの首都エレバンで、生物多様性条約(CBD)のCOP17(第17回締約国会議)が開催されています。私も10月22日早朝に現地入りし、週末も含めて連日参加しています。(10月26日の執筆時点では)ちょうど前半の1週間が終わり、これから後半の1週間が始まるところです。

今回のCOPでは、2022年に採択した昆明・モントリオール生物多様性枠組み(GBF、2030年までの世界共通の目標)の進み具合を世界全体で初めて点検し、各国で資金と情報開示のルールを詰めていきます。基本的には各国の行動やそのルールを議論するのですが、それが間接的に企業に影響するものもあります。

■生物多様性COP17の3つの注目点

今回のCOP17の注目点は、大きく3つです。

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まず、資金の仕組みです。先進国は地球環境ファシリティ(GEF)を中心とする既存の枠組みを続けたい一方、途上国は生物多様性条約の管轄下に新しい基金を求めており、これが最大の争点になっています。公的資金の不足を背景に、民間資金への期待も高まっています。

次の注目は、遺伝資源のデジタル配列情報(DSI、生物の遺伝情報データ)の利用で生じた利益配分です。利益配分を分かち合う仕組みはCOP16で決まり、カリ基金が創設されました。拠出の目安は利益の1%または売上の0.1%で、総資産2000万ドル、売上5000万ドル、利益500万ドルの3つのうち2つ以上を、過去3年間の平均で上回る企業が対象とされています。今回のCOP17では、企業からの拠出を、自主的なままにするのか、義務にするのかが議論されています。

そして3つ目が、自然関連の情報開示です。自然への配慮を企業活動や金融に組み込む「主流化」に関する決定案では、企業の評価・開示・低減の責任や、生物多様性と生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム(IPBES)の評価に基づく開示を、奨励するのか、義務付けるのかが議論される見込みです。

なお、(執筆時点では)閣僚級の会合は10月27日と28日、決定の採択は10月30日の予定ですが、日程は流動的です。

COPは基本的には国同士が集まって国際的なルールを決める会議ですので、すぐに企業の行動を縛るわけではありません。しかし、このCOPに合わせて、さまざまな団体が、企業向けの新しいルールを次々に発表しています。

■相次ぐ企業向けの新ルール

TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)は2026年10月13日、自然関連のリスクを評価する手順LEAPを、「2.0」に更新しました。「LEAP」とは、Locate(発見する)・Evaluate(診断する)・Assess(評価する)・Prepare(準備する)の頭文字を取ったもので、自社の事業活動が、どこで自然と接し、どのような依存やインパクトがあるかを診断し、そこから生じる自然関連のリスクと機会を評価し、戦略・目標の設定や情報開示、経営への統合に向けて準備を行うアプローチを言います。

ネイチャー・ポジティブ・イニシアティブ(NPI)も同じく10月13日、生態系の状態を測るSoN(State of Nature、自然の状態)指標を、公表しました。

会期中に、ISSB(国際サステナビリティ基準審議会)が、自然関連の開示について、実務声明(IFRSサステナビリティ開示プラクティス・ステートメント)の公開草案を発表しました。2027年2月19日まで意見募集を受け付けます。

10月25日には、IAPB(生物多様性クレジット国際諮問パネル)が、生物多様性クレジットの3つのスタンダードの草案を発表しました。意見募集は、2026年12月14日までです。

ISSBとIAPBは、まだ草案です。これからパブリックコメントを経て、改定されていきます。それでも、大まかな方向性が見えたことは大きいと思います。

これらは、一つ一つが重要なテーマですので、詳しい解説は、また別の機会にしたいと思います。まずは、こうした動きが起きていることをお伝えしたいと思います。

こうした動きを見ていると、企業が、生物多様性を守るだけでなく、再生していくところにまで関わっていくことが求められている、その流れが次々にできているように感じます。

日本企業は、TNFDの情報開示などでは、かなり先行している部分もあります。ただ、これからは、より実質的な行動や、大きな資金の投資が求められるようになってくるでしょう。

今回提案されたこうしたルールは、今後のデファクトスタンダード(事実上の標準)になる可能性があります。ぜひ、注目してください。

※この記事は、株式会社レスポンスアビリティのメールマガジン「サステナブル経営通信」(サス経)550号(2026年10月26日発行)をオルタナ編集部にて一部編集したものです。過去の「サス経」はこちらから、執筆者の思いをまとめたnote「最初のひとしずく」はこちらからお読みいただけます。

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足立 直樹(サステナブル経営アドバイザー)

東京大学理学部卒業、同大学院修了、博士(理学)。国立環境研究所、マレーシア森林研究所(FRIM)で基礎研究に従事後、2002年に独立。株式会社レスポンスアビリティ代表取締役、一般社団法人 企業と生物多様性イニシアティブ(JBIB)理事・事務局長、一般社団法人 日本エシカル推進協議会(JEI)理事・副会長、サステナブル・ブランド ジャパン サステナビリティ・プロデューサー等を務める。

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キーワード: #生物多様性

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